HARMONIE - 尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科

バンドジャーナル連動企画 小澤 俊朗&伊藤 透 スペシャル対談 (2/3)

――現在、吹奏楽がとても盛んですが、一方で少人数バンドも増えてきていますね。

全日本高等学校吹奏楽大会 in 横浜

「全日本高等学校吹奏楽大会 in 横浜」では、
吹奏楽とビッグバンドにダンスをコラボして
尚美らしいステージを披露

小澤:ええ。優秀な指導者がいる学校には大人数が集まるけれど、指導者がいなくて人数が集まらない学校もあるかもしれません。指導者を増やすことも大切ですが、その学校の実情に合った活動をすることが必要でしょうね。人数の多いバンドは、それに憧れて入部する人もいて、ますます増える傾向がある。結果として、コンサートバンドだけでなく、マーチングもビッグバンドも、歌も踊りもと活動が広がるわけです。
尚美はそれらすべてに対応できるようになっている。時代の先読みをした結果、最先端のシステムになったと言っていいでしょう。先日の「全日本高等学校吹奏楽大会 in 横浜」では、そういう活動をお披露目しました。

――吹奏楽コンクールを目標にする以外にも、中高生が参加できるいろいろな形のイベントが増え、尚美の活動の幅もそれに対応して広がっているわけですね。

小澤:はい。吹連が主催するもの以外にも、たとえば少人数のバンドのためには「管楽合奏コンテスト」などもありますが、本来、音楽は楽しむものですから、コンクールだけじゃなくて教育的な価値があるもの、音楽的な価値のあるもの、いろいろあっていいと思うんです。ただ、そのひとつとして、それぞれの目的に合ったコンクールを目標にするのもいいのではないでしょうか。

――そういう意味では、各バンドの指導者には、そのバンドの編成に適合するように、パートを減らしたり増やしたりする作業が求められる機会が増えたように思うのですが、そのためには、ある程度の編曲の知識が必要になりますよね?

編曲の知識

小澤:はい。たとえば、3パートを2パートに削らなければいけない場合、闇雲に3番パートをなくしてしまうケースをよく見かけますが、これは良くありません。やはり、ちゃんとスコアを見て、1、2番がユニゾンで3番が別の声部を吹いているときなどは、2番でなくて3番を演奏すればいいわけです。そういう工夫をしている演奏と、そうでない演奏の違いは大きいと思いますね。ちょっと知識があればできることです。

――なるほど。当然、和声の知識もないといけないわけですね。

伊藤:はい。尚美ではハーモニーをコードネームで呼ぶようにして、クラシックでもポップスでも、ジャンルの壁なく同じ言葉で音楽を理解できるようにしています。また、「編曲法」の授業では、「K点を越えて」で有名な高橋伸哉先生をはじめとする現役の作曲家が指導にあたり、より実践的な理論やオーケストレーションの仕方を教えています。そこが他の音大とちょっと違うところかもしれませんね。

――本当に、今現場で必要とされていることが学べるのですね。他にはどのようなアイデアを取り入れているのでしょうか?

伊藤:さっきの作編曲授業以外にも、イベントの企画や運営を体験する授業があります。どちらにしても、理論だけでは十分じゃないので、実演の機会を多く作って「体験する」ということを重視していますね。SHOBI NET-TVを通して、課題曲クリニックの様子や学生の演奏を配信するということもしています。

ダンス学科卒業公演

ダンス学科卒業公演の様子

――はじめのお話で尚美には学科が13あるということでしたが、それらの学科との関わりについてはどうなっているのでしょうか。協力体制にあるんですか?

伊藤:コンサートの音響や照明はその学科がやってくれますし、他の学科の企画したイベントに管弦打の学生が出演したり、ミュージカルやダンスの公演にビッグバンドが出演したりということもよくありますね。そういう意味では、実社会に近いシステムになっています。

――卒業後にどうかかわるか、という問題で言うと、音楽大学だといわゆる「プロ」になる、というところに重点が置かれていますよね。しかしながら今の時代は、アマチュアも含めいろいろなかたちで関われます。そういう意味では、尚美であれば選択の幅も広がるわけですね。

伊藤:そういうことです。しかもここは専門学校ですから音楽系の企業から多くの求人が届きます。さらに、あらかじめメールアドレスを登録して希望する職種を選んでおけば、求人が来たときに自動的に学生にメールが届くようにもなっている。その情報を見て「こんな仕事があるのか。こんな職種もあるのか。」というのがわかるだけでも勉強ですよね。
また、ミュージックビジネス学科や音響・映像学科に通っている学生の中にも、意外と吹奏楽をやってきてた学生が多くいます。その学科の人たちが100%に限りなく近い人数、ミュージックビジネスにしても音響にしても、その業界に就職してるので、今後、そういう方面での吹奏楽への理解もますます広がっていくんじゃないかと期待しています。

小澤 俊朗
管弦打楽器学科 客員教授

日本を代表するバンドディレクター。
神奈川大学吹奏楽団音楽監督、
日本管打・吹奏楽学会最高執行役員、
日本吹奏楽指導者協会常務理事、
日本バンドクリニック委員会代表、
~21世紀の吹奏楽~「響宴」実行委員長。
伊藤 透
管弦打楽器学科 学科長

東京藝術大学卒業。
石川県音楽文化振興事業団音楽マネジメントアドバイザー、ラ・フォル・ジュルネ金沢2009企画運営委員。