尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

II. 行進曲「よろこびへ歩きだせ」(土井康司)

パート別ワンポイントアドバイス(コントラバス編/講師・小室昌広)

野崎和宏この曲では、拍頭の休符のあとに音を出す、いわゆる「あと打ち」の場面が多く見られます。 このような場面で大事なのは 休符の時点でリズミカルに弓を弦に置く ということです。休符の時点での動きによって、次に出る音の様子はほとんど決まってしまいます。「休符を演奏する」テクニックを身につけると、特にこの曲は表現が的確になります。

最初の場面で奏法に慣れてきたら、16分休符を含むパッセージにも応用して下さい。大変細かく忙しい動きになりますが、体の動きをコンパクトにして、タイミングが遅れないように、むしろ動きはタイミングを先取りする気持ちで機敏にこなしていきましょう。

53小節では、前の小節の8分音符の動きからの流れで、ダウンでクレッシェンドをすることになるでしょう。弓の先を普段より下げて、弓の移動に伴って自然に弦と触れる位置が駒に近づいていくようにすると、力を加えずにクレッシェンドが演出できます。

92小節以降に書かれているスラーはフレーズのつながりを表すスラーなので、ひと弓で弾く必要はありません。1小節ひと弓くらいで、音を切らずに演奏したほうが、スラーの表現となります。 同じ箇所で、横棒が音符の上に置かれている音は、メロディーに対する応答句なので、アンサンブルの中から際立たせるようにしましょう。少しアクセントを伴う音が、行進曲としての性格を保つ上でも必要だと思います。

140小節からも、1小節ひと弓で、ただし音の出だしにアクセントがつくとスラーの表現ではなくなりますから注意しましょう。 弓の動きは、譜面が求める表現を具現化するものでなければなりません。音楽として聴こえるように創造的に弓の動きを工夫して下さい。 全体としてイギリスの行進曲のスタイルに近い曲です。エルガーやウォルトンなど英国の作曲家の作った行進曲も聴いて参考にすると良いでしょう。

【小室昌広プロフィール】
1989年、東京芸術大学卒業。1992年同大学大学院音楽研究科修士課程修了。コントラバスを加藤正幸、永島義男の各氏に師事。L.シュトライヒャー、F.ポシュタ、F.ペトラッキの指導も受ける。作・編曲、指揮も手掛け、その作品は東京交響楽団等で演奏されている。都内すべてのプロオーケストラでの経験をもち、東京ゾリスデンアンサンブル・オブ・トウキョウなどの室内楽団でも演奏する。草津、倉敷、宮崎などの各音楽祭に出演。東京芸術大学及び尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。