2023年度シラバス

尚美ミュージックカレッジ専門学校

科目名楽式研究Ⅱ
担当講師名徳備 康純
学科音楽総合アカデミー学科
コースアレンジ・作曲コース
専攻楽器グレード等
年次2年次
学期秋学期
授業の形態演習

担当科目に関連する実務経歴

ヤマハ音楽振興会での20年あまりに及ぶ音楽スタッフ手としての勤務の後、作曲家として海外を含めて30年以上にわたって作品を発表し、全音をはじめとする出版社からも作品を発表している。

授業内容

前半は、無調の音楽からドデカフォニー、偶然性の音楽、ミニマル・ミュージックの音楽の紹介とその技法についての理解を深め、それらを使った小曲の試作を行います。また、後半は近代日本の音楽について武満徹氏や細川俊夫氏などの音楽を通じて学びます尚、講師は作曲家として海外を含めて活動を30年以上にわたって行い、全音などから作品を出版するなど行う等の実務経験を持つ。

到達目標(この授業で何ができるようになるのか)

一般的な調性を無くした、無調の小曲の試作を通じて、現代の様々な音楽の様式を理解することを目指します。

授業計画

第1回20世紀はじめに起こったキュビズムと調性の崩壊の新しい芸術運動から、シェーンベルクの弦楽四重奏曲第2番を分析します。
第2回シェーンベルクの「ピエロ・リュネール」からいくつかを分析し、リームなどに繋がる表現主義について学びます。
第3回無調のピアノ小品の試作を行い、その作品の試演を行うことで、無調の音楽の作り方について理解を深める。
第4回12音音列を作り、そこから反行、逆行、逆反行の音列表を作り、そこから簡単なメロディーを試作します。
第5回音列技法による徳備作曲の「孤独なカプリチオ」を分析し、実際の楽曲の作り方を学びます。
第6回ウェーベルンのピアノのための変奏曲の分析をし、鏡像、響き、ディナーミクなどのパラメータを明らかにすることで、セリエリズムをより深く学びます。
第7回ウェーベルンの交響曲の分析を通じて、音色旋律、特殊なソナタ形式の分析により、戦後の現代音楽への道筋を理解する。
中間試験評価方法・評価基準
12音のよる三声の任意の管・弦楽器による様々な種類のカノンを制作し、無調、ドデカフォニーの音楽の理解を深める。楽器の音域、特徴を生かした作品であることを目指しつつ、より完成度の高いカノンを書くこと。試験80%、出席点20%。
第8回アイヴズ、ヴァレーズの音楽を紹介し、作品の分析をつうじて20世紀前半のアメリカの前衛音楽について学ぶ。
第9回ガーシュウィンの音楽と同時代の作曲家たちに与えた影響について紹介し、ラプソディー・イン・ブルーを分析する。
第10回ジョン・ケージの音楽を紹介し、その哲学について理解し、20世紀音楽に与えた影響について学ぶる。
第11回ミニマル系の音楽をいくつか紹介し、ペルトのブリテンへの追悼歌の分析を行う。
第12回近衛秀麿の「越天楽」の分析を通じて、ヘテロフォニーなどの技法を、民族の古典に繋がる様式について学ぶ。
第13回伊福部 昭のリトミカ・オスティナータの分析を通じて、奇数拍の使い方などについて学ぶ。
第14回武満 徹 ノーヴェンバー・ステップスの分析を通じて、邦楽器の使用した協奏曲が与えたインパクトと、図形楽譜の紹介を行います。
第15回新ロマン主義以降の作品、吉松 隆の朱鷺によせる哀歌を分析します。
期末試験評価方法・評価基準
授業の中でとりあげた作品、あるいは作曲家について、詳細な分析を交えたレポート(A4 : 5枚以上)を提出するか、もしくはそこで使われた技法を用いた小品を試作しそのスコアを提出する。新しい技法の内容の理解、あるいは作品、作曲家への考察をもとに評価します。試験80%、出席点20%。