尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2009年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

I. 16世紀のシャンソンによる変奏曲(諏訪雅彦)

パート別ワンポイントアドバイス(オーボエ編/講師・市原 満)

市原 満冒頭テーマは16世紀、ルネサンスを思わせる素朴な旋律でとても美しいね。
ポリフォニー(複数の旋律)で構成されているから、主旋律、対旋律をしっかり意識して演奏することが大切(といっても、オーボエはほとんど主旋律担当だけどね)。
ア ラ・ブレーベ、2/2拍子の拍子感をしっかり表現することもポイント。4拍子ではないから要注意!「mp&cantabile」や「p~pp」とあっても 発音はクリアに、またアーティキュレーションも記されているとおり正確に表現することで、古典音楽の雰囲気を上手く作れるだろう。

Theme
冒頭、オーボエとB♭クラリネットのユニゾンで始まるテーマ。オーボエは低音域でちょっと難しいと作曲家に思われてしまったようで「困難なら[A] の前まで休みに」なんてかかれてしまったね。なんて屈辱的な!正しい発音システムをしっかり習得していれば、まったく問題なし。アーティキュレーションは テヌートで。4分音符のタンギングは、おへその辺りの筋肉をちょっとだけ意識して、真っ直ぐ、ロングトーンしているつもりで、舌だけ動かすようにすると楽 に表現できる。
練習番号[A] に「ma non tanto」と記されているのは、ダイナミクスが「mf」だけど「大きすぎないように」ということかな。ここには「過剰なespressivo(表情豊かに)しないこと!」の意味もありそうだね。素朴に演奏しよう。

Var.I
オーボエはほとんどお休みで練習番号[D] から登場。2拍目裏から、小節線を越えてかかるタイに付いているクレッシェンドは、ほんの少しだけ。膨らませるというより、小節の頭の音に向かっていくように、テンションを下げなければOK。

Var.II
ア ウフタクトで始まるVar.II。アウフタクトをしっかり発音することで、次の1拍目が2/2拍子らしくなる。練習番号[E] の5小節目の16分音符は前の小節の2拍目でブレスを取り、4分休符でリードに舌をつけてセッティングしておくと、ジャストタイミングでは入れる よ。[F] からの8分音符はマルカート・スタッカートでクリアに。

Var.III
Interlude、間奏曲とある、ゆったり静かなVar.III。オーボエは残念ながらお休みでした~。

Var.IV
軽 快な3/8拍子で始まる旋律は、B♭クラリネットとユニゾン。付点8分音符にテヌート&スタッカートが記されているけど、音と音の間を少し空けるようにし て、軽くヴィブラートをかけると「粋」で軽やかな感じを出せるかな。クラよりオーボエが主役でいたほうが、ルネサンスの雰囲気にはバッチリ。Jの前の装飾 音符は指の動きを極小さくして小気味良く。

Var.V
「alla turca」トルコ風にと題されたVar.V は軽快な太鼓のリズムに乗って踊る舞曲。軽やかに踊っているように表現。スタッカートが付いている4分音符はクリアな発音を特に意識しよう。「f」でも常に美しい音色で演奏すること。

Coda
「ma,poco scorrente」は「でも、少し滑る(滑走する)ように」と直訳できるけど、「テンポは少し遅くなるけど流れを失わないように!」ということかな。ねばらないで、淡々と、あくまでもシンプルに進行するとベスト。
[L] でちょっと幅広くなった感じだけどオーボエの4分音符で歌いすぎずに。116小節2拍目裏から記されているディミヌエンドは少し遅らせて117小節に入っ てからにするとフレーズ感を上手く表現できる。ラスト4小節は冒頭のテンポでテーマを再びオーボエが担当。Fl.1とユニゾンだけど、これもオーボエが主 役。ディミヌエンドは120小節からにすると、やはりフレーズ作りが楽。F#の音をちょっとしっかり吹くと最後のGが落ち着く。F#にヴィブラートは絶対 にかけないこと。
最後の和音は第3音を半音上げて短調から長調のG-Durに。これを「ピカルディの3度」といい、バロック時代に流行った手法。 美しく、ホッとするこのハーモニー。オーボエは休み!?ん~、残念…。この「美」をいっしょに体感できないけど、ゆっくり、じっくり聴いて、味わってくれ。

【市原 満プロフィール】
トランペットを北村源三、北川晋、故金石幸夫の各氏に師 事。80年東京芸術大学音楽学部別科修了。同年オーボエに転向。似鳥健彦氏に師事した後、81年ドイツに留学。ベルリンでハンスイェルク・シェレンベル ガー(ベルリンフィル首席)、ミュンヘンで故マンフレッド・クレメント(バイエルン放送響首席)の各氏に師事。86年帰国後、多数のリサイタル、ソロコン サートを開催。NHK-FMリサイタル出演等ソロの他、木管五重奏団「アマデウス・クインテット」を主宰、活発に演奏活動を行っている。また全国各地で、 吹奏楽コンクール、アンサンブル・コンテスト等の審査員や吹奏楽講習会、オーボエクリニックの講師を務める他、「バンドジャーナル(音楽の友社)・ワンポ イントレッスン(2002年)、MANちゃんの木管アンサンブルの楽しみ(現在連載中)」の連載等執筆活動も行い、多方面で活躍している。
日本オーボエ協会常任理事、玉川大学芸術学部講師、東京ミュージック&メディアアーツ尚美講師。
市原満公式ホームページ:http://ichihara-man.com/