尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2011年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

I. マーチ「ライヴリー アヴェニュー」(堀田庸元)

パート別ワンポイントアドバイス(コントラバス編/講師・小室昌広)

野崎和宏 良く演奏されるマーチよりも、軽快な印象がある曲です。リズムや和音に、ジャズの基本的なアイデアが含まれています。マーチを演奏する場合、コントラバスなどの低音パートは、しっかりした歩みを表現するために幾分かの重量感のある音を作りますが、この曲ではそれよりも、軽く、弾みのある音で「陽気な」音を目指すと、楽曲全体の雰囲気が華やかなものになるでしょう。

マーチの歩みは4分音符の連続で記譜されていますが、「4分音符の長さ」ではなく、「4分音符の勢い」が必要です。弓は音がかすれるギリギリの軽さで、弦の上を快速に滑らせ、毛の範囲を全部使うつもりで弾きます。8分音符の長さになってしまっても構いません。弦は響き続けているでしょうし、次の音を弾く為のスタンバイの時間ができますので、視覚的にも元気よく華やかな印象になります。

同じパターンが続くところから変化して動きがあるときには音を弾く時間を少し長くすると表情が出ます。この曲では半音の進行が特徴です。ハーモニーに注意して滑らかなラインが出てくるといいでしょう。

[C] からのメロディーも「勇ましさ」よりは「軽やかさ」が出るとよいでしょう。ベタベタと音を並べず、歯切れのよい音を作りましょう。先程説明した速い弓の使い方に加えて、スタッカートの音の間で弓を静止させて「弓を弦上に留め置くことで弦の振動を止める」動きが入ると、管楽器のタンギングと似た効果になり、表情が揃います。しかし、弦に弓を押し付けないように!摩擦が大きくなり弓の速度を損ないます。

Trioのイントロ4小節は意外と印象的です。半音で上がる昂揚感を演出しましょう。メロディーを歌うつもりになってもいいでしょう。

Trioの旋律はコントラバスにGの音があるときにF#、Fの音のときにG♭が奏されていて、半音でぶつかります。このメロディーはジャズの名曲「A列車で行こう」の応用といえるもので、和音から外れた音による浮遊感を狙っています。コントラバスはホルン1・2番とのハーモニーに注意し(パート練習も効果的でしょう)旋律とのハーモニーにこだわらないようにしましょう。

236小節のC♭も強調できると曲がしまります。音量を大きくしても全体のなかでは効果は期待できません。前後のB♭との音程の差をうまく表現することを研究しましょう。

【小室昌広プロフィール】
1989年、東京芸術大学卒業。1992年同大学大学院音楽研究科修士課程修了。コ ントラバスを加藤正幸、永島義男の各氏に師事。L.シュトライヒャー、F.ポシュタ、F.ペトラッキの指導も受ける。作・編曲、指揮も手掛け、その作品は 東京交響楽団等で演奏されている。都内すべてのプロオーケストラでの経験をもち、東京ゾリスデンアンサンブル・オブ・トウキョウなどの室内楽団でも演奏する。草津、倉敷、宮崎などの各音楽祭に出演。東京芸術大学及び尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。