尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2011年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

V.「薔薇戦争」より 戦場にて (山口哲人)

パート別ワンポイントアドバイス(コントラバス編/講師・小室昌広)

野崎和宏最初の部分は、映画音楽のような壮大な響きです。ストリング・バスとしては、十分な響きがアンサンブル全体を包み込むように、広がりのある音を出したいです。弓は何度返しても構いませんから、弓の量をたくさん使って、弦がレンズ状に膨らんで見えるような振幅を作ってください。このとき、自分では音がそれほど聞こえなくても、響きのある空間では遠くでは身体を包み込むような響きが聴きとれます。共演者に遠くに離れて聞いてもらって確かめるといいでしょう。

音符上の横線はテヌート記号と呼ばれていますが、音を保つだけではなく、音の立ち上がりをはっきりとして、軽いアクセントがあるようにすると、リズムが生まれ、記号の意図が解ると思います。

22小節のように、伸ばしている音を改めて同じ音程で弾く場合は、つながって聞こえてしまうことがあります。それでは記譜した意味がないので、弾く前に大胆に間をとり、2つの音に聞こえるよう工夫しましょう。

[D] からは5拍子の複雑なアンサンブルが続きます。バスは安定したビートを提供出来るようにしましょう。拍の裏で出す音が拍頭の音より鋭いとリズムが締まります。拍裏の音をだす拍の頭で、何か雑音が出るくらいにしっかり構えを固めることが出来ると、リズム感覚のある演奏ができます。

[E] 2小節目後半の3拍は実質としては「4連符」が表記されています。3拍のなかに長さを4等分した音が並んでいます。3文字と4文字の言葉を二人で手分けして頭を揃えて連呼しつづけると、ここのリズム感がわかってくるでしょう。人の名前、物の名前など面白い言葉を見つけて楽しみながら練習しましょう。

70・72小節では高い音をピッツィカートで響かせます。しっかりと弦を押さえましょう。ネックを肩に担ぐような体制をとり、手首・肘を正面に突き出します。クロールで腕が入水する瞬間と似た腕の様相を作ってみましょう。この姿勢では腕の重さが指に乗ってきます。親指は宙に浮いていても楽器は肩が支えているので大丈夫です。人差し指と中指を弦の上で立てて、腕の重さを支えてください。しっかり弦を押さえることができます。

右手は指先に力を集め、指板の上で指を滑らせながらはじきます。弦を押し付け指板上で転がす感じです。弦をつまんではじくと、弦が指板にぶつかり、響きも止まってしまいます。やはりクロールの入水前の腕の形が力を入れやすいでしょう。

【小室昌広プロフィール】
1989年、東京芸術大学卒業。1992年同大学大学院音楽研究科修士課程修了。コントラバスを加藤正幸、永島義男の各氏に師事。L.シュトライヒャー、F.ポシュタ、F.ペトラッキの指導も受ける。作・編曲、指揮も手掛け、その作品は 東京交響楽団等で演奏されている。都内すべてのプロオーケストラでの経験をもち、東京ゾリスデンアンサンブル・オブ・トウキョウなどの室内楽団でも演奏す る。草津、倉敷、宮崎などの各音楽祭に出演。東京芸術大学及び尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。