尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2011年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

V.「薔薇戦争」より 戦場にて (山口哲人)

天野正道先生・佐藤正人先生・渡辺由美子先生による鼎談

佐藤―― 最近の課題曲5番と印象が違って、ストーリー性が見える曲ですね。

天野―― 調性がはっきりしていて、わかりやすいね。スコアもしっかり書かれている。

渡辺―― 打楽器はやりがいあります。しっかりしたアンサンブル力も必要なので、場所によっては管楽器と合わせ(分奏)も必要ですね。使われている楽器はシンプルですが、テクニックが要求されます。Tambourineは、持ち替えが忙しいです。Triangleを何か所かに配置して、持ち替えに不具合がないようにしたいですね。パートスコア譜(打楽器が全部書かれている)を作成して、移動がスムーズになるような計画・セッティングをしたいです。

佐藤―― 全体に、リズムやフィンガリング、アーティキュレーションの指示等、細かく書かれているので、じっくり時間をかけて譜読みしてから練習したほうが良いようですね。

佐藤――  では最初から細かく見ていきましょう。掛け合いのファンファーレ、リズムの性格や楽器の組み合わせの音色の対比、しっかり出したいですね。強弱も、どこにスポットが当たるか良く考えられているので、立体的に演奏したいです。

渡辺―― Timp.も音の粒が見えるようにして、音程感が出るように。硬すぎるマレットだと出し難いかも。ビートとリズムの表現、どちらかに偏らないように気をつけたいです。

佐藤―― 3小節目からFl.とPicc.の掛け合いも見えるように。音の抜き方も各パート細かく指示ありますね。音の行き先の音量設定も含めて考えて決めたいですね。

天野―― 冒頭のB.D.がmfになっているのは、サウンドに響きを出すためかな?

佐藤―― 2小節目のCl.はmfだと少し聞こえにくいのでバランスに気をつけたいです。

渡辺―― Glocken.とTriangleが4分の4拍子になっていますが、リズムの取り方は8分の12で取ると演奏しやすいですね。

天野―― B♭調なのに[A] までは低音にFの音を多用しているので、インパクトがあるね。

渡辺―― ティンパニは5台あれば良いですが、たとえば4台だと途中でGをB♭に変えないと・・・音替えが忙しいですね。

天野―― 今回は5台あると無難だね。[A] はE♭m9で美しいコードで進んでいる。輝かしい印象を受けるね。[B] からも、E♭7 on Fのハーモニーでオンコードにしているところが、華やかに聴かせているね。

渡辺―― Triangle、冒頭から3小節目の16分音符は、指一本触れながら演奏すると粒が見えやすくなります。

佐藤―― [D] まで、リズムやアーティキュレーションがかなり細かく書かれているので、クリアに演奏。

渡辺―― フルスコアは全員必携ですね!(一同うなずく!) 

佐藤―― [B] 直前のクラリネットのミ♭→ラ♭の進行は一瞬だけど指の動きに注意。

天野―― [B] から[C] は少し短いけど、最初のクライマックスになるようにダイナミクスがついているね。

佐藤―― [C] はHrn.と高音木管のラインがきちんと聞こえるように。

渡辺―― [D] の前のTimp.は弱奏になっても5連符が見えるようにしたいですね。

佐藤―― [D] Allegro moltoから全員が(3+2)+(2+3)のビート感・テンポ感をしっかり持って演奏することが大事ですね。この(3+2)+(2+3)のビートは、必ずしもそのセットで聴こえないというか、フレーズが絡み合っていて、取り難いかもしれません。慣れると大丈夫だと思うけど、少しテンポも速めなので丁寧に練習が必要です。

渡辺―― 歌でも練習すると良いですね。[D] は低音とS.D.のアンサンブルをしっかり。5拍子の感じ方が見えるように、特に2小節目のような形はリズムの取り方を統一して演奏します。

佐藤―― 3小節目のHrn.のストップはF管で。

天野―― 通常もF管で吹く方がホルンらしくて良いなぁ。

天野―― TambourineとHrn.が一緒に演奏する部分(33小節目)、Hrn.のリズムを主体にして、それにCl.が響きをつけるように演奏するとサウンドにコントラストがつくね。Hrn.のタンギングはシングルかダブルか合わせて、Tambourineもそれに添って演奏する。
32小節目のEuph.から始まる動きもポイント。コンデンススコアを見てメロディーラインのつながりを把握しないと。

佐藤―― 5小節目から出てくるTrb.が(3+2)+(2+3)のビート感を出している。これが前半の表現の要になりますね。

天野―― [E] のEuph.とTub.はテンポ感大事。

佐藤―― [F] はダイナミクスの変化が一瞬なのでコントロールをしっかり。メロディーは1小節前のTrp.とOb.から。

渡辺―― B.D.は粒の見えるビーターに変えて演奏。

天野―― 3小節目のTrp.3番、2拍目がないのは、3拍目で音が下がることによって失速するのを防ぐためかな。

佐藤―― 8分音符アクセントスラーの形は、跳ねすぎない方が良いです。

渡辺―― [G] 1小節前のTimp.は半音をきちんと取らないと低音と重なってしまいます。打つ場所も工夫。

佐藤―― [G] 1小節前、Cl.のラインは分割されているけど流れはひとつになるように演奏。57小節目からの駆け下りるCl.とSax.のタイミング、注意。

天野―― Cl.はユニゾンでSax.はハーモニーになっているので、コンデンスで確認。

佐藤―― [G] はかなり劇的。スペクタクルなスクリーンミュージックな感じ。どの楽器が場面のどの役割か、情景やストーリーを考えながら演奏するのも良いですね。

渡辺―― [G] 6小節目Glocken.は最低音まで使っているで聞こえるように。Triangleのトレモロはdim.するまでの表現に気をつけましょう。

佐藤―― [H] のCl.は少し運指が難しい…。弦のトレモロのイメージかな。

渡辺―― TriangleもS.D.の人が担当するのは少し持ち替えが難しいかもしれません。67小節目のTimp.は、一拍の間でE→B♭に音替えをしないと……(4台だと)

天野―― モチーフの操作がしっかりしていて有機的結合がちゃんとできてるから、楽譜の情報を正確に読み取って組み立てていけばしっかりした音楽が作れるけど、難しい部分がたくさん出てくるから、ないがしろになりやすい場所が出てくるかもしれないな。

渡辺―― [ I ] のSus.Cymb.は管楽器と必ず組み合わさっているので意識して演奏します。マレットも工夫。

佐藤―― 80小節のHrn.のグリッサンドは、タイミングをねらって。楽譜のリズムで(グリッサンドを掛けずに)タイミングをつかむ練習をしてから、グリッサンドすると良いです。Molto rit.もラインごとにバラバラにならないように。

渡辺―― Glocken.のグリッサンドはハープのイメージ。鉄のバチでないほうが良いかもしれません。76小節目からのB.D.は大きすぎないようにバランスに気をつけます。

佐藤―― [J] Maestosoの3連符のスタッカートスラーはテヌートのように。新しいテーマが出てくるので、印象的に。

渡辺―― [K] 1小節前、打楽器のクレッシェンドは[K] の頭に音がないので、音の処理に気をつけたいです。

天野―― クライマックスから、Allegro moltoに戻って、緊張感が持続したまま、最後に向かうにつれて消えていくようになる。低音の音量と掛け合いがポイントだね。

佐藤―― アンサンブルしっかりやらないと一つのフレーズに聴こえませんね。S.D.がppからdim.だけど、管楽器いけるかな?ちょっと楽器が多いかなぁ。高音木管の印象的なパッセージもスラーとタンギング、和声感が大事です。

天野―― リズムや音価、音色の選択にも気をつけたいね。演奏の指示の多さが、作家の思いを物語っている。

佐藤―― 全体に、メッセージ性が強い曲ですね。

渡辺―― 打楽器は、Timp.の粒が見えるように演奏することです。Triangleの音色やセッティング、S.D.のピッチの設定もポイントですね。

佐藤―― 結構手強い曲ですね。先生方ありがとうございました。