尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2013年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI 講師陣による課題曲講座

 

V. 流沙 (広瀬 正憲)

パート別ワンポイントアドバイス(サクソフォーン編/講師・原 博巳)

原 博巳この作品は実音E音で始まり、同じE音で終わります。それは「どんなに展開を重ねても同じところに戻ってくる」ということで、混沌として複雑で、取りとめのない世界に投げ込まれて、どうして良いかわからないと思ったところで、ハッと気がつき、実は夢だったというような感じでしょうか。そのようなストーリーや情景をイメージしながら演奏すると、現代音楽もより身近に感じられますね。

すべてのサクソフォーンに言えることですが、記譜の「ド♯」は最も不安定な音で、その音のソロから始まるこの作品は、つまり同じ質感を保つというよりは、常に不安定に揺れ動き、終始、予測不能な変化を伴いながら進んでいきます。また全体的にクレッシェンド、デクレッシェンドといった強弱の指示が細かく指示されているので、その音量の変化をいかしながら、不安定な流れを表現したいですね。

[A]3小節目からのアルトの動きは揺れ動く様に、迫るようなクレッシェンドの後、[B]2小節前のアクセントではテナーと共に鍵盤楽器の音の形に習い、乾いた硬質なタンギングが良いでしょう。
[C]からのアルト、テナーの旋律は動きを合わせながら3小節目の四分音符に重みを乗せて、バリトンの十六分音符はアクセントを付けながらも軽快に。
[E]からのアルトの旋律は太く柔らかな音色で、一緒に歌うクラリネットの音を包み込むように、また後に加担するユーフォニアムに包み込んでもらうような、他パートとの一体感を意識しましょう。また強弱の変化を守りつつ、歌い過ぎて遅くならないように注意してください。
[H]からのテナーのソロは1小節目、2小節目ともにmpですが、決して同じではありません。4小節目からレガートに上行する旋律は音色を均一に保ちながらそこはかとない自然なクレッシェンドを、[J]からのアルトの旋律にも同じことが言えます。
[L]5小節目、また[S]4小節目は、音程はもちろん、音色、音の形、クレッシェンドの形も合わせながら、まるで一つの楽器のように、サックスパートとしての一体感が求められます。

パート別ワンポイントアドバイス"動画編"

【原 博巳プロフィール】
東京に生まれ、幼少から神奈川県鎌倉市で過ごす。 東京ミュージック&メディアアーツ尚美(現 尚美ミュージックカレッジ専門学校)、東京藝術大学音楽学部別科を首席で修了。サクソフォンを服部吉之、冨岡和男の両氏に師事。
1996年 第13回日本管打楽器コンクール サクソフォン部門第一位、2002年 第3回アドルフ・サックス国際コンクール第一位(日本人初)
2003年 アメリカのミネソタ州ミネアポリスに於いて開催された第13回ワールド・サクソフォン・コングレスに参加、2006年はスロベニアのリュブリャナで開催された第14回同コングレスではジェローム・ラランと共に鈴木純明作曲「2つのソプラノサクソフォンの為のアンチエンヌ」を世界初演、また閉幕コンサートではスロベニア警察音楽隊と共にアンドレ・ウェニアン作曲「アルトサクソフォンと吹奏楽のための二つの断章」を演奏し好評を博した。
2004年 神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏会にソリストとして出演し、エイトール・ヴィラ=ロボス作曲「ファンタジア」、ポール・モーリス作曲「組曲『プロヴァンスの風景』」を共演。
2007年 フランスのパリ、キャプヴェルンの2箇所で演奏会とマスタークラスを開催し、2008年には東京の浜離宮朝日ホールに於いて野原みどり(ピアノ)と共に株式会社野中貿易主催による邦人現代作品からフランス近代作品を集めたリサイタルを開催、その中で鈴木純明作曲「アルトサクソフォンの為のスフルスティック」を世界初演し注目を集めた。また同年 台湾の嘉義市で開催された吹奏 楽祭「2008嘉義市國際管樂節」に招かれ、ジェローム・ララン、ティボー・カナヴァル、大石将紀らと共に四重奏で参加し高い評価を得た。
2004年4月から1年間、音楽之友社から刊行されている「バンドジャーナル」の誌上にある「ワンポイントレッスン」を執筆する。1999年にはラジオ「NHK-FMリサイタル」に2度出演、2008年 NHK-FM「名曲リサイタル」に出演した。

CDはこれまでに伊藤亜希子(ピアノ)と共に「森の静けさ」を、伊藤富美恵(ピアノ)と共に「PCF」を、そして野原みどり(ピアノ)、橋本晋哉(テューバ)、久保智美(オンド・マルトノ)らと共に「レチタティーヴォ・ファンタジア」をそれぞれカフアレコードからリリースしている。

教育活動は2003年4月から洗足学園音楽大学、洗足学園高等学校を、加えて2005年4月からは母校である尚美ミュージックカレッジ専門学校で後進の指導にあたっている他、2008年 第25回日本管打楽器コンクール、 2010年 第5回アドルフ・サックス国際コンクールの審査員を務めた。


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