尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

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課題曲のすべて

V.ビスマス・サイケデリア I(日景 貴文)
<課題曲5>クラリネット編

パート別ワンポイントアドバイス(クラリネット編/講師・中村めぐみ)

中村めぐみ曲に取り組むと同時に奏法を整え、基礎を見直す時間を常にもつようにしてください。身体も楽器の一部と考えてアンブシュアや構え方が安定するように組み立て、タンギングのノイズがないか、一つの音の中で音程が動いたりしていないかなど、素材を磨くことは、成功の大きなポイントだと常に思います。

単純ではありませんが、各シーンで色彩がはっきりしている曲です。また、音の進行の仕方の変化そのものが音楽の発展を担う部分が多いので、細かいモチーフも、変化が2度なのか3度なのかなどの違いを明確に演奏すると、とても立体的な仕上がりになると考えます。

冒頭のハーモニーは3グループいて、Fl.、Ob.、E♭ Cl.、Cl.が、実音GとD♭の束を作っています。Fl.1とE♭ Cl.が表面に出るように作るべきなのかと考えるので、1stが人数も多いでしょうし、あまり頑張らないほうがいいと思います。E♭ Cl.、頑張ってください。

冒頭4拍目のB.Cl.、Bsn.、Euph.、Tubaとともにかなりはっきり立ち上がりましょう。また、[A]からは、16分音符2つが際立って強く聴こえるように吹いてください。

[A]の2小節目からのE♭ Cl.、Cl.、A.Cl.のモチーフは、まず動きが半音のところと全音のところがあるので、そこを把握し、その違いが分かるように吹くこと、そしてクレッシェンドを早くから掛けすぎず、fmf間はやや音量をキープするが、それ以外のところはデクレッシェンドも早めにかけて、音量の頂点になる音を特別強く吹き、音量の差を極端につけると、とても立体的になると思います。

[B]は、Sax.が3連符を網羅しているので、それぞれが、それに乗ってタイミングよく、はっきり発音してください。

[B]の4小節目はリズムの正確さも大事ですが、Cl.セクションだけでハーモニーを作っているので、バランスをつくりましょう。
やはり、E♭ Cl.が強めで、1stの音がその下にあることがわかるバランスが良いと思います。
また、A.Cl.とB.Cl.の2つの音のハーモニーを別に固めてつくってみてください。

[C]のE♭ Cl.、1st、3rdのバランスも同じです。1stが最も強くならないよう工夫してみてください。

[C]から[D]手前までのモチーフもAの場合と同じようにしてください。譜面上の音量の変化が手に取るように分かるイメージをもってください。

[D]の5小節前4小節前のトレモロは、発音をHrn.に寄せてください。4小節前は、16分休符も演奏するイメージで発音しましょう。

[D]の2小節前の3rdとB.Cl.は、金管の発音に添えて、金管の音の残像のように吹きましょう。

[D]の2拍前からの2nd、3rd、A.Cl.は、レガートの切れた次の音が下行していることが見えるように吹くことと、レガートの最初の表れがクリアになるよう、レガートの最後の音と隙間を作って喋り直してみましょう。

[D]の2拍前からの1stは、本来添えているべき下の歯をリードから離して唇で振動をささえ、マウスピースとリードの間に息圧を当てて振動するリードを長くして音程を下げ、後から入る音のタイミングで後から入る音と同じ音程まで指を使わず下げるのが効果的だと思います。

[E]の2小節前アウフタクトのE♭ Cl.は、Cl.の3連符の進行に沿って動き、譜面にある通り、レガートが閉じてまた次のレガートに行く時に、フレーズを言い直すイメージで、そして、Cl.の、3連符にテヌートがあるところは、そのE♭ Cl.のフレーズが閉じるところなので、長く、というよりは、丁寧に、次のmpを言い直すと一体感が出ます。ただ、レガートの始まりのタイミングがずれて二種類あることは明確にわかる方がより良いと思います。

[F]の3小節前アウフタクトからのリズムは、アクセントのある音とない音を明確に吹き分けましょう。そして調性を意識してください。

[F]の4小節目の、E♭ Cl.と1stのかけ合いも、できれば音量の質感が凸凹しない方がいいでしょう。1stがあまり頑張りすぎない方が良さそうです。

[H]の2小節前のE♭ Cl.、1st, 2nd, 3rdの高いF♯(記譜)のユニゾン、Cl.は、何通りかあるフィンガリングの中で一番安定する指を吟味して準備しておきましょう。[H]の1小節前の16分音符も全員で動きが束になるとかっこいいですね。4拍目に少し重心を作ると拍子感が出ると思います。

[H]の5小節目の、1番2番3rd、A.Cl.、B.Cl.は、fpfの時間を統一してみてください。

[J]の5小節前からの、E♭ Cl.、1stの16分音符は、音が上がってまた下がって上がる繰り返しが、下がる幅が狭まり、上がるまでの音の数が減って行き繰り返されることの高揚感をイメージして吹いてください。自然にクレッシェンドがかかるはずです。

[J]からの、2nd&3rd、A.Cl.は、逆に音の数が増え幅が広がって行きます。クレッシェンドはしませんが、その変化が見えるように、下がる時に少しトーンダウンしても面白いかもしれません。そしてそのくすぶりが、[K]の前のダイレクトなクレッシェンドに繋がっていくと面白いと思います。これが徐々に温度を上げて、[M]に到達します。

[N]からは、4小節間は始まりがmp、そして5小節目でmf、6小節目でfからffへ、という計画を丁寧に表現して、緊張感を、保ちます。

[O]の3小節目からは、各々が正確に刻む、音と音の間の隙間を綺麗に作ることをすると、賑々しくなるのではの考えます。そして刻みからスケールに変化した瞬間がはっきりわかるように立ち上がりをクリアにしましょう。

この曲の最後の1stの伸ばしは、クレッシェンドするにつれて、アンブシュアが動かないよう管理して息圧をコントロールし、音程が動かないようにしましょう。振動するリードの長さを管理すれば音程は安定するはずです。

ビスマスという鉱石の写真を見てみました。この作品に現れる様々な色やうねりに、とても納得がいきました。
それだけに、細かいモチーフのキャラクターが曖昧だとその面白さや衝撃が出にくい、と考えて、それぞれのモチーフに要求されるであろう効果についてのみ書きました。素材がそろったら、他の楽器も本当に面白くショッキングなモチーフを持っているので、全体を見渡して、聴く人の心を動かす目論見をオケ全体で持てるといいですね。

ただ通り過ぎるだけの演奏でない、たくさんの仕掛けが楽しめる演奏に出会えることと思います。

頑張ってくださいね。

【中村めぐみプロフィール】
東京藝術大学器楽科卒業。第八回ヤマハ新人演奏会、同大学同声会新人演奏会出演。シエナ・ウインド・オーケストラ入団。ほか、オーケストラ、ミュージカルオーケストラ、室内楽、ソリスト、スタジオワークなどで、活動を続ける。東京クラリネットアンサンブル、東京クラリネットフィルハーモニー、シエナ・クラッツのメンバーとしてライブ、CDレコーディングに参加。シエナの公演、CDで多数コンサートマスターを務める。

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