HARMONIE - 尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科

バンドジャーナル連動企画 小澤 俊朗×伊藤 透 スペシャル対談 (1/3)

“音楽の世界で仕事をするためのスキル”とはどんなものだろうか?
それを学生に身につけてもらうべく、実践的なカリキュラムを創り上げてきた「専門学校 尚美ミュージックカレッジ専門学校」。その立役者である管弦打楽器学科の客員教授、小澤俊朗氏と、学科長の伊藤透氏に話をうかがった。

※スペースの都合で「バンドジャーナル」誌上ではカットした内容も掲載してあります。

――近年、吹奏楽が盛んになっていますが、吹奏楽の指導法を学びたくても音楽大学では難しいのが現状です。この点について尚美ではどうお考えでしょうか?

伊藤:尚美は、クラシックからポピュラーまで幅広い学科があって、演奏だけでなく、音楽ビジネス、ダンス、ミュージカルなど全部で13の学科があります。
その中でも管弦打楽器専攻生がもっとも多く、2年制の管弦打楽器学科や4年制の音楽総合アカデミー学科、さらにその上にプロを目指す2年制のディプロマ科があるので、最大6年間在籍できるんです。2年制の管弦打楽器学科には4つのコースがあり、管弦打楽器コース、マーチングコース、ジャズ・ポップスコース、そして吹奏楽の指導法についても授業を行う吹奏楽コースがあります。

――吹奏楽コースではどのようなことを学ぶことができるのですか?

吹奏楽指導法

吹奏楽指導法の授業の一コマ
(指導:佐藤正人先生)

伊藤:全コース共通のカリキュラムのほか、吹奏楽指導法や教材研究、それから楽器指導法があります。小澤先生の授業では、自分の専攻以外の楽器も吹いて学んだり、佐藤正人先生の授業では、尚美の学生を中高生に見立てて指導する時間を設けています。

――吹奏楽を指導するには、自分の専攻以外の楽器を知ることが重要なわけですね。

小澤:そのとおりです。これから吹奏楽の世界、特に指導の分野で活躍するためには、1つの楽器でエキスパートになるよりも、いろんな楽器を知っていたほうがいいでしょう。
管弦打楽器コースの学生は、自分の楽器を極める目的ですが、わかりやすい指導の仕方を研究するために、他の学生を教えるという体験をします。
それに対して、吹奏楽コースの学生は、スコアを読んだり編曲するためには、自分以外の楽器も学ばなければいけない。ですから、最低限、フルート、クラリネット、トランペット、打楽器を勉強します。さらに学年が進むと、今言った以外の楽器、そして最上級生になるとダブルリードやストリングベースまでを学びます。
こうして各楽器を知ることが、バンドのメンバーの気持ちを理解するのにとても役に立つんです。これがわからないと、トランペットにいきなりハイB♭をpで吹かせるなどの無茶な要求をしてしまう。

――「どうしてできないんだ」という根性論になってしまうわけですね。

小澤:そうです。演奏技術だけでなく、楽器のトラブルでもそう。知識があれば、現場で簡単な応急処置ができるんです。たとえば、「楽器が壊れた」と生徒が持ってきたものが、実はキィのバネがはずれていただけ、ということもあります。
こうした知識を現場に入ってから習得するとなると、やはり5年10年という長い期間がかかると思うんです。もっと短い時間でシステマティックにできないかと考えたのが、尚美で実践しているシステムなんです。吹奏楽を授業に取り入れているアメリカでは、バンドディレクターはバンドで使う全部の楽器が必修なんですよ。ここまでやってるのか、と驚きましたけど。

伊藤:楽器トラブルの話が出ましたが、そういうことに対応できるように、尚美では集中講座としてリペア実習も必修としています。

――マーチングコースはどういう授業内容なのでしょうか?

ステージマーチング

定期演奏会でのステージマーチングショー

伊藤:文字どおり、マーチングバンドを中心に活動しているんですが、フィールドだけでなく、「ブラスト!」のようなステージマーチングも取り入れています。校内にあるバリオホールで授業を行い、照明や音響も含めたステージでのショーを体験します。
学生は、資格をとって指導者の道に進むか、パフォーマーとして消防や警察の音楽隊など公務員を希望することが多いので、それに対応した授業も組んでいます。

――現場で役立つ授業ばかりですが、このような内容であれば、現場の先生方も受けてみたいと思うでしょうね。

伊藤:そうですね。音大や教育大学を卒業してから、吹奏楽コースで指導法などを学びたいと言って入学する人もいます。逆に、2年間のコースでは学び足りないと言って、4年制コースの3年次に編入する学生も半分近くいるんですよ。また、学校の先生になって指導したいという学生には、教員免許を取得するために尚美学園大学の3年次に編入する道もあります。

小澤 俊朗
管弦打楽器学科 客員教授

日本を代表するバンドディレクター。
神奈川大学吹奏楽団音楽監督、
日本管打・吹奏楽学会最高執行役員、
日本吹奏楽指導者協会常務理事、
日本バンドクリニック委員会代表、
~21世紀の吹奏楽~「響宴」実行委員長。
伊藤 透
管弦打楽器学科 学科長

東京藝術大学卒業。
石川県音楽文化振興事業団音楽マネジメントアドバイザー、ラ・フォル・ジュルネ金沢2009企画運営委員。