尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

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【イベントレポート】シエナ・ウインド・オーケストラ&尚美ウインドオーケストラ 提携記念コラボレーションコンサート2012

2012年9月25日、サントリーホールにて「シエナ・ウインド・オーケストラ&尚美ウインドオーケストラ 提携記念コラボレーションコンサート2012」を開催しました。

日本を代表するプロフェッショナルな吹奏楽団であるシエナ・ウインド・オーケストラとは昨年協定を締結して以来、これまでも文京シビックホールでのバンダやエキストラという形での共演をはじめ、多面的な協力活動を展開してきましたが、今回ついにサントリーホールという日本屈指のコンサート・ホールで本格的なコラボレーションコンサートの共同開催が実現しました。

このコンサート、ただ2つのバンドの演奏が聴けるだけではなく、大編成の合同バンドによる演奏や、「ガチンコ対決!」と銘打って客席の皆様にどちらの演奏がよかったかを投票してもらう試みも盛り込まれたユニークな演奏会。
指揮は尚美、シエナ、合同演奏ともに大井剛史氏。ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉の常任指揮者や山形交響楽団指揮者を務め、緻密かつ表情豊かな音楽作りが印象的なマエストロです。また、開演前のホワイエでは「同じ指揮者で別のバンドの演奏が聴ける機会も珍しい」との声も聞かれました。
案内役は司会者の朝岡 聡氏とゲスト審査員のさかなクン。テレビなどでおなじみのお二人、実は共に吹奏楽部出身だそうで、親しみやすいトークでコンサートを盛り上げてくださいました。さかなクンはそれぞれのバンドに応援の横断幕(直筆!)を持参するほどの気合いの入りよう。

■尚美ウインドオーケストラ

2012年度の吹奏楽コンクール課題曲「じゅげむ」を、若々しいはつらつとした尚美ウインドらしい演奏で聴かせ、コンサートの幕開けを飾りました。
続く「マカレナ」でソリストを務めたのはシエナのトランペット奏者、砂川 隆丈さん。輝かしいトランペットの音色と華麗なるテクニック、そして指揮者との掛け合いのパフォーマンスも大好評でした。
なお、砂川さんは実は尚美出身(参考:「プロに訊け」[特別編] トランペット奏者 本間千也・久良木 文・砂川隆丈 各氏による鼎談 – 2010年4月掲載)。砂川さんのほかにも、シエナには尚美出身だったり尚美の講師を務めるメンバーが何人も在籍しています。 
「コンサート・バンドとジャズ・アンサンブルのためのラプソディ」は、コンクールなどでよく演奏される通常の吹奏楽編成ではなく、吹奏楽とビッグバンドがひとつのステージに並ぶ本来の編成で演奏しました。
ビッグバンドのパートを担当したのはポップスコンテンポラリー学科の学生を中心に編成されたSHOBI JAZZ ORCHESTRA。各楽器のアドリブ・ソロはもちろん、サクソフォーンのプレイヤーがフルートやバスクラリネットに持ち替えて音色を変化させるなど際立った演奏を披露。楽曲が持つオリジナルのサウンドを追求すると共に、SHOBI のひとつの特徴である「学科を超えたコラボレーション」も体現しました。

■シエナ・ウインド・オーケストラ

各楽器のソロと豊かな歌心が印象的で「さすがプロ!」と思わせるような「さくらのうた(2012年度コンクール課題曲)」に続き、シエナが得意とするアルフレッド・リードの作品を2曲。
「バラード」のアルトサクソフォーン独奏は尚美コンセルヴァトアールディプロマ科 2年の中島麻美さん。尚美で学んで6年目の大舞台、リード珠玉の美しい旋律を情緒あふれる音色でたっぷりと聴かせてくれました。演奏後は一緒に演奏したシエナのメンバーからも暖かい拍手が送られました。
続く「アルメニアン・ダンス パートI」は、シエナにとって創立以来ずっとコンサートやレコーディングで度々演奏してきた”十八番”であるだけでなく、指揮者の大井氏にとっても「中学生の頃に初めて指揮した曲」という思い入れの強い作品。大井氏の情熱的な指揮にシエナが全力で応えた快演は、耳の肥えたシエナ・ファンの方でも十分に楽しめるものだったでしょう。

■合同演奏

バンダを含め総勢106名による大編成の合同バンド。ステージ上はシエナのメンバーと尚美ウインドのメンバーがちょうど交互に並ぶように配置され、学生にとってはまさに「プロ奏者の間近で演奏できる」絶好の機会となりました。また、「カタコンブ付近の松」の舞台裏トランペットなど重要なソロ・パートを尚美ウインドのメンバーが受け持つ場面も。
「アッピア街道の松」では、まるで背後のオルガンが鳴っているかのように錯覚するほど大迫力のサウンドがサントリーホールに響き渡りました。もちろん迫力だけではなく、「音色が美しくて、思いが入った演奏」という大井氏の演奏後の言葉通り、中間楽章の弱奏部では息を飲むほど繊細な音色が紡ぎ出され、吹奏楽という形態の表現の幅の広さを十二分に感じられる演奏で、シエナのプロとしての真摯さと尚美の学生のひたむきさが合わさって、大きなひとつの音楽が生み出されていました。

この演奏のあと、会場投票による「ガチンコ対決!」の結果がさかなクンより発表されました。
結果は「シエナ1,056票 vs 尚美397票」(※総来場者数1,694名、有効投票者数1,453票のうち)とシエナの圧勝でしたが、終演後の会場からは「どちらの演奏もよくて、どっちかに決められず投票できなかった!」という声も。

アンコールではシエナのコンサートで定番となっている、楽器をお持ちいただいたお客様も加わって「星条旗よ永遠なれ」の大合奏。ステージに乗り切らないほど多くの皆さんに参加していただき(指揮者も大井氏含め3人!)、さかなクンもコントラバスクラリネットで参加!客席の手拍子も合わさって、大歓声の中コンサートは幕を閉じました。

今回のコラボレーションコンサートを皮切りに、今後もシエナ・ウインド・オーケストラとの産学協力協定を活かした様々な活動を続けていきます。

【プログラム】

指揮:大井 剛史/司会:朝岡 聡/ゲスト審査員:さかなクン

〜尚美ウインドオーケストラ〜
吹奏楽のための綺想曲「じゅげむ」 (2012年度 全日本吹奏楽コンクール 課題曲III)/足立 正
トランペットとバンドのためのマカレナ/B.モンテルデ (岩井 直溥編)
トランペット・ソロ:砂川 隆丈 (シエナ・ウインド・オーケストラ)
コンサートバンドとジャズアンサンブルのためのラプソディ/P.ウィリアム

〜シエナ・ウインド・オーケストラ〜
さくらのうた (2012年度 全日本吹奏楽コンクール 課題曲I)/福田 洋介
バラード(アルト・サクソフォーンとバンドのための)/A.リード
サクソフォーン・ソロ:中島 麻美 (尚美コンセルヴァトアールディプロマ科)
アルメニアン・ダンス パート I/A.リード

〜合同演奏〜
交響詩「ローマの松」/O.レスピーギ (木村 𠮷宏編)
[アンコール] 星条旗よ永遠なれ/J.P.スーザ (※会場合同演奏)

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