尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

IV. 行進曲「希望の空」(和田 信)

パート別ワンポイントアドバイス(ホルン編/講師・並木博美)

並木博美8分の6拍子は八分音符3つ分(付点四分音符)を1拍と考え、1小節内にそれが2拍あると考えます(必要に応じて言葉で細かく数える時は「イチトット ニートット」か「1・2・3 / 4・5・6」とかという風に数えるとリズムが取りやすいです)。

ホルンといえば、「マーチではあと打ち」といわれるくらいリズムを刻みながらバスやパーカッションと共にマーチのテンポや軽快感、曲の安定感を作っていくうえに非常に大切な働きをしています。あと打ちなくしてはマーチはマーチになりえないかもしれないくらい重要なのです。ですから誇りをもって素晴らしい演奏に貢献できるようにがんばりましょう。

第1小節目から4小節間は1st,3rd,4thが1オクターブの音程のまま同じ動きをしています。ここで同じ動きをしているのはTrp.2nd、Trb.3rdとHrn.1st,4thとTrb.2ndとHrn.2nd、Trb.1stとHrn.3rdです。それぞれ個人ががまず正しい音程で演奏できるようにしてその後同じ動き同士で合わせていきましょう。

練習記号 [A] からの4小節間の8分の6拍子のリズムを以下にカタカナで示しておきますので、それで歌えるようにします。
トッタトッタ | トッタトッタ | トッタタタタ | 取ったぞー |
ほんの一例ですがこんな歌い方を語呂合わせと言います。意外と普段使っている言葉にはリズムが隠されているのです。パートで一つ一つの和音を伸ばしてそれが短く演奏されたときにも、短いけどはっきりと良くハモッた和音でリズムを刻めるようにもっていきましょう。遅いテンポからメトロノームを使いながらしっかりお腹で支えた息で一つ一つをよく響かせてホルンセクションの音を作っていきましょう。

練習記号 [F] のTrioの前まで調性はE♭majorですのでE♭の和音の際は下第一間の実音Gの音程が高くならないようにしましょう。また7小節目から4小節間、2nd,3rd,4thに実音AsとBの音程と重なったときの音量のバランスが均等に聴こえるように長い音で吹いて確かめておき、八分音符で演奏してもしっかり合った和音で刻めるようにしましょう。

49小節からTrp.,T.Sax.,Eup.と共にハーモニーを形成しています。ここも豊かな響きを作れるように息を充分に使って広々とした音で音程を確実に合わせバンド全体のサウンドを変えられるように合わせたい所です。

67小節目のリズムは8分の6拍子の中にある八分音符6個を2個ずつのグループに分けたリズムに変えて表現を面白くしています。もとは1小節は八分音符で歌うとタ・タ・タ・タ・タ・タですがこの場合は1小節の中はターターターと歌います。
65小節から続けて歌ってみると ンタタター | ンタタター | タータータタ | タ となります。

Trioに入って103・104小節のハーモニーの変化は特に付点四分音符で動いている2nd,3rd,4thの音程を和音一つ一つじっくり合わせていきます。パートが3人しかいない場合は4thをカットして良いようです。

103小節の第2拍でクレッシェンドし104小節の第1拍目がもっとも大きくしすぐに弱くし始め第2拍目で完全に弱くすると効果的に聴こえます。

110小節第2拍目の発音ははっきりしますが出たあと息で余韻を付ける様にすると効果的です。

練習記号 [J] からのリズムが最も大変でしょう。八分音符6つをゆっくりのテンポメトロノームをかけ、それに合わせて手で6つたたきながら口でリズムを「タン・タン・タン・ターンタ・タン」と歌います。次第にテンポを上げていき、たとえばテンポが116だとすると八分音符一個の速度はその3倍の348です。3連符が刻めるデジタルメトロノームなら116のままで刻めるのでそれにあわせて歌っておくことがとても大事です。少しの算数の力と運動神経が必要ですね。

131小節目も同様に細かく刻んでリズムが取れるようにまずしていきましょう。メトロノームは必要です。147・148小節はクライマックスに向かっていく表現です。リズムを正確に刻みつつ148小節第2拍目のクレッシェンドを最後まできっちりするように注意して演奏し、166小節目はホルンパート全員でかなり強い音ではっきりと吹きましょう。165小節の中低音パートの楽器数から行くとかなり厳しいと思いますがいろいろ工夫してみてください。

【並木博美プロフィール】
1953年生まれ。武蔵野音楽大学・同大学院修了。ホルンを薗清隆、田中正大、H.ブラーデルの各氏に師事。アンサンブルの為の編曲等を多数手掛ける。現在、東京佼成ウインドオーケストラ、東京アーバンブラス・東京アートノームブラス所属。