アンサンブル講座
佐藤正人先生によるアンサンブル講座。バンド指導者が日常的に活用できる知識を網羅!

クラリネット・アンサンブル
クラリネット・アンサンブルは,管楽器のアンサンブルの中でも身近で、また効果の高い演奏が可能な形態です。クラリネットという楽器は音域が広いのですが、その広い音域が比較的自由に使えます。弦楽器が音域の高い・低いに制約されることなく使えるのに似ています。クラリネットで現在使われている楽器は次の通りです。
- A♭クラリネット、E♭クラリネット、Dクラリネット、Cクラリネット
- B♭クラリネット、Aクラリネット
- Fバセット・ホルン、E♭アルト・クラリネット、B♭バス・クラリネット
- E♭コントラ・アルト・クラリネット、B♭コントラ・バス・クラリネット
これだけたくさんある種類のうち、吹奏楽やアンサンブルでは太字の楽器が一般的に使われます。他の楽器は特別の編成の吹奏楽やオーケストラ,またこれらを用いたアンサンブル、独奏などに使われます。ですから、ごく常識的には吹奏楽の世界を考えているならば、太字の楽器のことがわかっていればよいということになります。
1.編成
クラリネット・アンサンブルの形態には通常次のようなものが多く組まれます。
| 三重奏 | ●B♭クラリネット(3) ○B♭クラリネット(2)+B♭バス・クラリネット(1) |
| 四重奏 | ●B♭クラリネット(4) ●B♭クラリネット(2)+E♭アルト・クラリネット(1)+B♭バス・クラリネット(1) ●B♭クラリネット(3)+B♭バス・クラリネット(1) ○E♭クラリネット(1)+B♭クラリネット(2)+B♭バス・クラリネット(1) ○E♭クラリネット(1)+B♭クラリネット(1+E♭アルト(1)+B♭バス(1) |
| 五重奏 | ●B♭クラリネット(3)+E♭アルト・クラリネット(1)+B♭バス・クラリネット(1) ●B♭クラリネット(4)+B♭バス・クラリネット(1) |
| 六重奏 | ●E♭クラリネット(1)+B♭クラリネット(3)+E♭アルト(1)+B♭バス(1) |
※これ以上はクワイア形式になり,六重奏にコントラバス・クラリネットが加わったり、B♭・E♭アルト,B♭バスを複数で使うようになったりします。
一般的に普及しているものは●のものです。これらの形態は楽譜も多く出版されていて、編成にも無理がないので気軽にグループを組むことができ、とても手軽にアンサンブルを楽しむことができます。吹奏楽では、クラリネット・セクションに大勢の人がいるわけですが、このような小さいグループをたくさん組ませて活動したらどうでしょうか。
2.クラリネット・アンサンブルのテクニック
クラリネット・アンサンブルは同属の楽器で音色も高い方から低い方まで統一されているので、音色を混ぜる苦労をしなくてすみます。また音量もだいたい似かよっていますのでバランスも大変とりやすいのですが、それだけにひと通り音が出てしまうと、それだけでよしとしてしまうきらいもなくありません。
アンサンブルを行うには一人一人が正しいピッチ、美しい音色を出す奏法、正しい運指法を用いることが第一の条件となります。お互いのパートの動きを理解してそれに対応する、これがアンサンブルの本当の面白さにつながるのです。
また、各々のパート間のリズムの関係、アーティキュレイション、イントネーションを統一しなくてはいけません。こういった問題を様々な場合に応じて整理していく作業がアンサンブルのまとめのひとつの基礎技法になります。
主旋律と伴奏部はっきり区別されているような曲では、伴奏部を少し小さめに押さえると主旋律が引き立ちますし、また低い音のパートは同じ音量だとどうしても高い音のパートに負けますから相当しっかり音を出さないといけません。バス・クラリネットは全体に大きめに吹くことを意識していたほうがよく、アルト・クラリネットも同様に考えられます。
それぞれのパートの役割を理解するところからアンサンブルは始まるのです。
3.レパートリー
■三重奏
| 作曲者名 | 曲名・編成 |
|---|---|
| オストリング | ・アルエット <B♭Cl.(3)> |
| ウォーカー | ・クラリネット三重奏変ロ長調 <B♭Cl.(3)> ・ときめき <B♭Cl.(3)> |
| モーツァルト/オストリング | ・メヌエットとトリオ <B♭Cl.(3)> または <E♭Cl.(1)+B♭Cl.(2)> |
| ヴォクスマン | ・3本のクラリネットのための室内楽曲集第1巻および第2巻 <B♭Cl.(3)> |
| エンドレッセン | ・木管楽器のお祭り <B♭Cl.(3)> |
| ブーフィル | ・3本のクラリネット三重奏第1番 <B♭Cl.(3)> |
| プート | ・クラリネット三重奏曲(テルツェット) <B♭Cl.(3)> |
■四重奏
| 作曲者名 | 曲名・編成 |
|---|---|
| カプラン | ・昔話 <B♭Cl.(4)> |
| ブラダーグ/ヴォクスマン | ・ボヘミア組曲 <B♭Cl.(4)> |
| グランドマン | ・バガデル <B♭Cl.(4)> |
| フランカイザー | ・踊る妖精 <B♭Cl.(4)>
または <E♭Cl.(1)+B♭Cl.(3)> または <E♭Cl.(2)+B♭Cl.(1)+B.Cl(1)> ・粉雪の舞 <B♭Cl.(4)> または <E♭Cl.(1)+B♭Cl.(3)> または <E♭Cl.(2)+B♭Cl.(1)+B.Cl(1)> ・秋によせて <B♭Cl.(4)> または <B♭Cl.(2)+A.Cl.(1)+B.Cl(1)> |
| ベートーヴェン/オストリング | ・スケルツォとトリオ <B♭Cl.(3)+B♭B.Cl(1)> または <B♭Cl.(2)+E♭A.Cl.(1)+B♭B.Cl(1)> |
| ウール | ・ディベルティメント <B♭Cl.(3)+B♭B.Cl(1)> |
| トマジ | ・3つのディベルティメント <B♭Cl.(4)> |
| ジェイコブ | ・4本のクラリネットのための「スケルツェット、パバーヌとゴパック」 <B♭Cl.(4)> |
| ウィルソン | ・4本のクラリネットのための「パガニーニの主題による変奏曲」 <B♭Cl.(4)> |
| ハーヴェイ | ・4本のクラリネットのための「ファンタジア」 <B♭Cl.(4)> |
| 永井彰 | ・くまさん変奏曲 <B♭Cl.(3)+B♭B.Cl.(1)> |
| ベネット | ・クラリネット四重奏のための「アルゼンチン」 <B♭Cl.(2)+A.Cl.(1)+B.Cl.(1)> |
| デュボワ | ・クラリネット四重奏曲 <B♭Cl.(4)> |
| 磯崎敦博 | ・兎率の憂い <B♭Cl.(4)> |
| 三浦真理 | ・クラリネット4重奏のための「クローバー・ファンタジー」 <B♭Cl.(3)+B.Cl.(1)> |
■五重奏
| 作曲者名 | 曲名・編成 |
|---|---|
| ベートーヴェン/ジョンソン | ・アダージョ・カンタービレ <B♭Cl.(3)+A.Cl.(1)+B.Cl(1)> または <B♭Cl.(4)+B.Cl(1)> |
| モーツァルト/ジョンソン | ・メヌエット~セレナーデ第1番より <B♭Cl.(3)+A.Cl.(1)+B.Cl(1)> または<B♭Cl.(4)+B.Cl(1)> |
| マクダエル/ジョンソン | ・森のスケッチ <B♭Cl.(3)+A.Cl.(1)+B.Cl(1)> または <B♭Cl.(4)+B.Cl(1)> |
| J.S.バッハ/森田一浩編曲 | ・シャコンヌ(「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調BWV1004」より) <B♭Cl.(4)+B.Cl.(1)> |
■六重奏
| 作曲者名 | 曲名・編成 |
|---|---|
| ボザ | ・クラリネット・アンサンブルのための「ほたる」 <E♭Cl.(1)+B♭Cl.(2)+A.Cl.(1)+B.Cl.(1)+C.B.Cl.(1)> |
| ルーシュール | ・クラリネット六重奏のための「家族」 <E♭Cl.(1)+B♭Cl.(2)+A.Cl.(1)+B.Cl.(1)+C.B.Cl.(1)> |
■七重奏
| 作曲者名 | 曲名・編成 |
|---|---|
| 森田一浩 | ・クラリネット七重奏のための「エレジーア、リトミカ、サンバ・オスティナート」 <B♭Cl.(7)> |
■八重奏
| 作曲者名 | 曲名・編成 |
|---|---|
| 森田一浩 | ・クラリネット・クワイアのための「オーバード」 <E♭Cl.(1)+B♭Cl.(4)+A.Cl.(1)+B.Cl.(1)+C.A.Cl(1)> |
| ネリベル | ・クラリネット・クワイアのための「コラールと舞曲」 <E♭Cl.(1)+B♭Cl.(3)+A.Cl.(1)+B.Cl.(1)+C.B.Cl(1)> |
◆お薦めレパートリー
| 作曲者名 | 曲名・編成 | 出版社 |
|---|---|---|
| ジェイコブ G.Jacob |
スケルツェット、パヴァーヌとゴパック SCHERZETTO,PAVANE&GOPAK |
EMERSON |
| ブーフィル J.Bouffil |
三重奏曲 第1番 TRIO NO.1 |
GERARD BILLAUDOT |
| 森田一浩 K.Morita |
エレジーア、リトミカ、サンバ・オスティナート ELEGIA, RITMICA&SAMBA-OSTINATO |
音楽之友社 |
| ルーシュール R.Loucheur |
家族 EN FAMILLE |
GERARD BILLAUDOT |
| ベネット D.Bennett |
アルゼンチン ARGENTINE |
CARL FISCHER |
| デュボワ P.M.Dubois |
クラリネット四重奏曲 QUATOUR |
|
| ポート M.Poot |
クラリネット三重奏曲(テルツェット) TERZETTO |
|
| 磯崎敦博 A.Isozaki |
兜率の憂い BRAHMAN'S MELANCHOLY |
|
| 三浦真理 M.Miura |
クローバー・ファンタジー CLOVER FANTASY |
カワイ出版 |
| バッハ/森田一浩 J.S.Bach |
シャコンヌ CHACONNE |
|
| 森田一浩 K.Morita |
オーバード AUBADE |
音楽之友社 |
| ネリベル V.Nelhybel |
コラールと舞曲 CHORALE AND DANZA |
SOUTHERN |
4.配置
ここでは一番多く行われる形を選んで図で示すことにします。
■三重奏(B♭Cl.(3))

■四重奏(B♭Cl.(4))

■四重奏(B♭Cl.(2)+A.Cl.+B.cl.) タイプA

■四重奏(B♭Cl.(2)+A.Cl.+B.cl.)タイプB

■五重奏(B♭Cl.(4)+B.cl.)

■五重奏(B♭Cl.(3)+A.Cl.+B.cl.)

■六重奏(E♭Cl.+B♭Cl.(3)+A.Cl.+B.cl.)

■クワイア、タイプA

■クワイア、タイプB
