尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

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広瀬 勇人氏 (作曲家)

話題の作曲家 広瀬勇人氏に訊く。

―― 先日デハスケから発売された「広瀬勇人作品集:ダビデの栄光」、聴かせていただきました。親しみやすくもダイナミックで充実したCDですね!

どうもありがとうございます。作曲した年代も作風もそれぞれ違うのですが、色々な方に楽しんで頂ける内容となっていると思いますので、是非多くの方に聴いてければと思います。

リハーサルを見る広瀬先生―― このCDのタイトルにもなっている「ダビデの栄光」は尚美アカデミーウインドオーケストラの委嘱によるものですね。委嘱の経緯や作曲のテーマなど教えていただけますか?

はい。昨年度の尚美アカデミーウインドオーケストラは打楽器の専攻生が14人いて、なかなか全員で演奏できる作品がないと指揮者の加養先生が選曲に悩んでいらっしゃいました。それならば私が作ってしまおう(笑)とお話させて頂き、曲を書かせて頂く事になりました。 曲は旧約聖書に出てくるイスラエルの王ダビデが、羊飼いの少年から一国の王へと成長していく物語を題材にした作品です。初演の録音を聴いたデ・ハスケ社の担当の方が曲と演奏を気に入って下さって、急遽今回のCDに収録し、またCDタイトルにして頂きました。 (→「ダビデの栄光」初演をSHOBI NET-TVで視聴

―― 今後コンサートやコンクールのレパートリーとしてこの作品を取り上げる団体もたくさん出てくると思います。ぜひ、演奏する際のアドバイスをお願いします。

ありがとうございます。簡単な曲ではないのですが、題材となったダビデの物語を思い浮かべながら、楽しんで練習して頂ければ幸いです。

―― さて、少し時代をさかのぼっていろいろと伺いたいと思います。広瀬先生が作曲を目指されるようになったきっかけを教えていただけますか?

高校生の頃ホルン奏者を夢見てプロの先生の門を叩いたのですが、ホルンでは伸び悩み、音大受験でソルフェージュを習っていた先生に「作曲でもやってみたら」、と勧められたのが作曲を始めるきっかけでした。20歳の終わりの頃でしたが、当時作曲にはあまり興味はなく、とにかく音楽の世界に残れればという一心で始めました。

―― そしてSHOBI に入学されたんですね。在学中の思い出などを聞かせてくださいますか?

尚美在学中はとにかくよく勉強しました(笑)。学校の勉強だけでなく、空き時間に他の音大の図書館や資料館に行って楽譜を借りてきて、曲やオーケストレーションなどを勉強していました。忙しくも、とても充実した毎日だったと思います。

―― 在学中に書かれた「キャプテン・マルコ」は、学内の試演会で指揮をした佐藤正人先生にも大変気に入られ、その後も何度も演奏されました。

それまで私は吹奏楽にほとんど縁がなく(高校時代はオーケストラ部でした)、オーケストラの管弦楽法で書いても吹奏楽では全然鳴らないので、この曲を書くのに四苦八苦していました。音出しの指揮をして下さった佐藤正人先生、また作曲学科の菊池幸夫先生や飯島俊成先生にアドバイスを頂きながら何度も書き直し、8ヶ月位かけてようやく完成したのを覚えています。

―― この作品はその後、CAFUAレーベルからNEC玉川吹奏楽団の演奏で、KlavierレーベルからUNLV ウインドオーケストラの演奏でCDがリリースされましたね。 ・・・さて、SHOBI 卒業後はボストン音楽院作曲科で学ばれていますね。どのような内容だったのでしょうか。

ボストン音楽院では幅広く作曲全般の勉強をすることが出来ました。環境が変わり、世界の色々な場所から人が集まっていたので、今までの価値観や自分のやりたい事を見つめ直す良い3年間だったと思います。

ヴァンデルロースト氏と。―― さらにレメンス音楽院大学院でヤン・ヴァンデルロースト氏の元で研鑽を・・。

アメリカの大きな都市からからヨーロッパのこじんまりとした片田舎の街に移り、今度は吹奏楽に焦点をあてて、集中して勉強する事が出来ました。ヴァンデルローストのレッスンは柔らかい物腰の中にも一本通った厳しさがあり、作曲上の助言や作曲家としての心構えなど、為になるものばかりでした。

―― この時期日本でも「日本人初のヤン・ヴァンデルローストの弟子!」とセンセーショナルに報じられました。帰国されてからのご活躍はこのサイトをご覧の皆さんもご存知の通りだと思いますが、1曲の作曲にはどのくらい時間をかけるのでしょうか?

ありがとうございます。現在は大体2ヶ月構想を考えて1ヶ月で音符を書く、というサイクルで、いくつか掛け持ちさせて頂くといった状況です。

―― 作曲の際に気をつけていることやコンセプトなどはありますか?

曲やメロディ、和音がどういう方向に進もうとしているか、何度も聴き直しながら人為的な?作品にならない様、慎重に書き進めています。
一方で、アイディアやひらめきを一筆書きで書くような思い切りの良さも大切だと思うので、それらのバランスを常に頭の片隅に入れながら作曲しています。

―― 広瀬先生の「無理なく良く鳴る」オーケストレーションには定評があります。先程の「試演会」のお話で出たような試行錯誤と努力があってのことだと思いますが、その他に何か気を付けていることはありますか?

曲を演奏して頂いた後、演奏者や指揮者の先生方のご意見、ご助言を積極的に聞いて、次からの作曲に活かす様にしています。 また自分でも書いた音符とその結果鳴る音をチェックして、うまくいった時とそうでない時の違いを耳で覚えておく様にしています。

―― ところで好きな作曲家や尊敬する作曲家は・・

クラシックなのですが、迷わずさらっと書いてしまうJ.S.バッハ、モーツァルトの音楽と、迷って苦しみながら音符を書くベートーベン、ブラームスの音楽が両方大好きです。ヴァンデルローストも勿論尊敬する作曲家の1人です。

―― 時間も残り少なくなってきましたが、現在手がけている作品について公表できる範囲で(笑)お願いします。

2010年1月24日(日)、北とぴあ(東京)さくらホールにて、尚美アカデミーウインドオーケストラの2作目の委嘱作品「オルフェの竪琴」が初演されます。 加養浩幸先生の指揮の下、ダイナミックでドラマチックな演奏となる事と思いますので、お近くの方は是非聴きにいらして下さい。

―― では最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

最後まで読んで下さってありがとうございます。 これから益々良い曲を書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します!

―― ありがとうございました。

【広瀬勇人 プロフィール】

1974年、東京生まれ。専門学校尚美ミュージックカレッジ専門学校を首席で卒業後、ボストン音楽院(米国)で優秀賞を受賞し卒業。レメンス音楽院大学院(ベルギー)にてヤン・ヴァンデルロースト氏の元で研鑽を積む。同音楽院の作曲科及び指揮科で修士号を取得。
日 本現代音楽協会作曲新人賞入選、ニューイングランド学生作曲コンクール第1位、21世紀の吹奏楽「響宴」入選。これまで数多くの委嘱作品を手掛け、作品は デ・ハスケ社(オランダ)を中心に日米欧の各出版社より出版、録音される。代表作「キャプテン・マルコ」「ブレーメンの音楽隊」等は、日本や欧米各国で演奏され、「アメリカン・オーバーチャー」、「ブレーメンの音楽隊」、「バベルの塔」といった作品がドイツ、スイスの吹奏楽コンクールの課題曲に選出される。
作曲をヤン・ヴァンデルロースト、ピート・スウェルツ、アンディ・ヴォース、松平頼暁各氏に師事。また、指揮者としても精力的に活動している。尚美ミュージックカレッジ専門学校 専任講師。
オフィシャルサイト:http://www.hayatohirose.com/

(2009年12月掲載)

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