尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2008年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

IV. 天馬の道~吹奏楽のために(片岡寛晶)

パート別ワンポイントアドバイス(ファゴット編/講師・多田逸左久)

多田逸左久吹奏楽を愛する皆さん、楽しく楽器を吹いていますか?
さて、今日はコンクール課題曲を演奏するに当たり、ポイントになる点を、皆さん と共に考えてみたいと思います。まず、どの曲にも共通する基本方針を確認しておきましょう。

■(1)楽譜を忠実に演奏する

「そんなこと当たり前でしょ!」と思うかも知れませんが、自分ではそうしているつもりでも、実はできていないということが意外に多いものです。常に初心を忘れず、楽譜に忠実な演奏を心がけましょう!
言うまでもありませんが、“楽譜を忠実に演奏する”ためには、“楽譜を正しく読む”ことが前提となります。楽譜を“ドレミ”で、声を出して読んでみましょう!

■(2)表現を大切にする

楽譜を正しく読み、作曲家の意図も十分にくみとったうえで、楽譜を忠実に演奏しただけではまだ十分とは言えません。それに加えて、というよりは、むしろそれと同じくらい、あるいはそれ以前に大切なことがあります。
それは、皆さんが「目の前にある曲をどのように演奏したいか」という“気持ち”です。そのうえで、その気持ちを表すにはどんな“音”が必要で、その昔を出すにはどうしたらよいかを考え、その昔を出すための練習をすることが大切です。
楽譜を忠実に演奏しながら、最大限自分なり、自分たちなりの表現をすることが音楽の難しいところであり、そして最も楽しいところでもあります。

■(3)スコア(総譜)を見る

吹奏楽はひとりではできません。ただ自分の気持ちを表現するだけでは、うまくいかないときがあります。そんなとき、皆さんの気持ちをひとつにするためのアイテムに、スコアがあります。
スコアを見れば、全体の中で自分がどんな役割を受け持っているのか、自分は誰と同じことをしているのかを簡単に確認することができます。ですから、パートリーダーだけが見るのではなく、皆さんそれぞれが見て有効活用してください。

■(4)参考演奏CDについて

参考演奏CDが全日本吹奏楽連盟からも出ていますが、使用にあたっては注意が必要です。
皆 さんは、楽譜を忠実に演奏しながら、自分たちらしい演奏を目指しているわけですから、そのために役立つような聴き方をしなければいけません。参考演奏を聴 いて先入観を持ち、それが皆さんの個性的表現を妨げ、いわゆる“模倣”にならないように十分気をつけてください。そういう意味では、参考演奏CDを聴かな いのも、ひとつの選択肢であると考えます。

以上が、各曲に共通する基本方針です。作曲家のコメントも参考にしながら、自由にイメージを展開してください!
次にそれぞれの曲について、演奏上のポイントを考えていきましょう。ファゴットだけに適用される点と、他のセクションとも関係する点をおり交ぜながらあげていきますが、ページの都合で、すべてはカバーしきれませんので、自分たちで臨機応変、補うようにしてください。
原 則として、バスクラリネット、テナーサクソフォーン、バリトンサクソフォーン、トロンボーン、ユーフォニアム、テューバ、コントラバスとは、指摘がなくと も連係することを前提に進めていきますが、それ以外の楽器とも、動きが同じであれば、同調することは言うまでもありません。また、音程についても、原則的 として皆さんで修正することとします。

「天馬の道~吹奏楽のために」のポイント

・[A] ~
mp になっていますが、mf くらいで楽に吹きましょう!

・[B] ~
leggiero となっていますので、八分音符は短めに吹きます。

・27小節目
横のアクセントと縦のアクセントを区別します。

・[E] ~
Risoluto は、ハキハキと吹きましょう!fp の吹き方をみんなで考えてください。

・[F] ~
八分音符をどう発音して、どう切ったら con energico に聞こえるか研究しましょう!

・[ I ] ~
8小節で一つのラインを作ってください。4小節目でブレスをする場合、流れが途切れないように気をつけます。

自分たちが天馬に乗った、或いは天馬になって空を翔るようなつもりで演奏してはどうでしょうか?

まとめ

『始めに気持ちありき』
繰り返しになりますが、一番大切なものは皆さんがどう演奏したいかという“気持ち”です。「その気持ちを表すにはどうしたらよいか?」ということから、いろいろなことが始まります。どんな音が必要で、その昔を出すにはどう練習するか?
つまり“テクニック”も、気持ちを表すために必要だということです。そして、試行錯誤を経て「個性を追求した独創的な演奏」が生まれます。
今年も、世界に一つしかない、皆さんだけの演奏をぜひ聴かせてください。楽しみにしています!!

【多田逸左久プロフィール】
1978年東京芸術大学音楽学部器楽科入学。ファゴットを三田平八郎氏に、室内 楽をアンリエット・ピュイグ=ロジェ、吉田雅夫、中川良平の各氏に師事。82年同大学卒業。同年同大学大学院音楽研究科入学。フリッツ・ヘンカー、岡崎耕 治の両氏に師事。84年同大学院修了。同年9月渡独、ハンブルク音楽院に入学。88年4月フライブルク音楽大学に移籍。89年2月帰国。以後、フリーラン サーとして様々なジャンルで演奏活動を行う傍ら、日本ファゴット(バスーン)協会事務局の一員として、ファゴットの普及活動にも携わっている他、東京シン フォニエッタのメンバーとして現代音楽にも積極的に取り組んでいる。