尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2008年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

IV. 天馬の道~吹奏楽のために(片岡寛晶)

パート別ワンポイントアドバイス(オーボエ編/講師・市原 満)

市原 満数種の場面からなる、まるで物語のようなこの作品は、その各キャラクターを音色やテンポ感、またアーティキュレーションやダイナミクスのクリアな表現がポイント。

● Andantino con espressione 「やや遅く、表情豊かに」(con espressioneはespressivoと同じ意味。前者は曲全体の表記で後者は個別の旋律等に記される。)と指示された冒頭は、付点4分音 符=69ca.(ca.は約の意)とゆったりしたテンポ指定だが、12/8拍子なのであまり粘らないで、横の流れを大切に。でも頭の中で常に8分音符刻み のカウントをすること。最初のDの前打音はトリルキーではなく、通常のフィンガリングで演奏すると正しい音程で美しくクリアな音色を表現できる。

● 6小節目からPiu mossoまでの8分音符は、ベタ~っとしないで、アーティキュレーションを明瞭に。スラーの付いていない音符は少しマルカート気味のほうが旋律やハーモニーに埋もれない。

● Piu mosso後[B] からはmp と記されているが金管とSax.の旋律に負けないダイナミクスが良いだろう。木管の細かい動きを十分に聴かせよう。スタッカートはクリアに軽く。

● [D] から4分音符=120ca.とより軽快なテンポ。当然スタッカートが付いていなくても軽く短く。D-E♭トリルは右小指の動きを極小さく。

● [E] はRisoluto「決然と」とあるから、同じテンポでも少し重々しく、キッパリとした表現で。3拍目のテヌートはそこから4拍目を経て1拍目に向かって 行くようにの意味かな。2拍目と3拍目の間をほんの少し空けると表現し易い。47小節のG♯-Aトリルは左小指と薬指を同時に動かす。

● [F] からAllegro con energico「力強く、快速」で4分音符=132ca.とかなり速い。スタッカート(アクセント)の付いた16分音符の連続はダブルタンギングがベスト。軽快な流れを止めないように。
● [ I ] からAdagio。4分音符=80ca.とあまり遅くないテンポ指示だけど、雰囲気はすご~くゆっくりだ。音価を十分に保つことで表現できる。頭の中のカ ウントは16分音符刻み。Jの前(91小節)、mp 「ラレドシー」はmf でちょっと目立っちゃおう。

● [J] から[L] までの旋律はロングトーンをしているつもりで、長いフレージング。
● [L] からは終止形。Allegro con energicoでいっきにラストに向かう。フィンガリングをしっかり。木管パートが同じ動きだから、f ~ff でも無理のない美しい音色で。124小節のG-A♭トリルは右A♭キーを人さし指の付け根で小さいストローク。132小節3拍目からのC-D♭トリルは左 人さし指(ハーフホール)の上下(左薬指のトリルキーはBナチュラル-C♯のためで、C-C♯には使わない)。137小節からの装飾音符中のFの運指は、 フォークFがベスト。

P.S.「今回の課題曲はどれもオーボエにソロ的要素が無くて、残念。」MAN感想…。

【市原 満プロフィール】
トランペットを北村源三、北川晋、故金石幸夫の各氏に師事。80年東京芸術大学音楽学部別科修了。同年オーボエに転向。似鳥健彦氏に師事した後、81年ドイツに留学。ベルリンでハンスイェルク・シェレンベルガー(ベルリンフィル)、ミュンヘンで故マンフレット・クレメント(バイエルン放送響)の各氏に師事。
86年帰国後、多数のリサイタル、ソロコンサートを開催。NHK-FMリサイタル出演等ソロの他、木管五重奏団「アマデウス・クインテット」を主宰、活発に演奏活動を行っている。また全国各地で、吹奏楽コンクール、アンサンブル・コンテスト等の審査員や吹奏楽講習会、オーボエクリニックの 講師を務める他、「バンドジャーナル(音楽の友社)・ワンポイントレッスン(2002年)、MANちゃんの木管アンサンブルの楽しみ(現在連載中)」の連 載等執筆活動も行い、多方面で活躍している。
日本オーボエ協会常任理事、玉川大学芸術学部講師、東京ミュージック&メディアアーツ尚美講師。(使用楽器:YAMAHA YOB831)