尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2009年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

I. 16世紀のシャンソンによる変奏曲(諏訪雅彦)

パート別ワンポイントアドバイス(パーカッション編/講師・日比一宏)

佐野日出男この曲では、使用される楽器について最初に解説をしようと思います。

Perc.1では、Drum (Tenor Drum or Floor Tom ,like a ”Tambour”)という表記がされています。like a Tambourの部分が解りにくいと思います。もう少し正確には”Tambour de Provence”(タンブール デ プロヴァンス)だと思われます。(Tambourというのはフランス語で「太鼓」の意味で、英語のDrumと同じで す。)
これはTambourin(タンブラン)とも呼ばれますが、フランスのプロヴァンス地方に古くからある両面の胴の長い太鼓で、直径 14~16インチ、深さ28~36インチ位の民俗楽器です。(ちなみに通常のコンサートで用いるスネアドラムの直径は14インチ、バスドラムの直径が36 インチ位です。)
ボルトではなくロープでヘッド(皮)を張るもので、あまり高い音はしません。「トントン」よりは「ドンドン」に近い、あるいはその中くらいの感じです。
適 当な楽器がない場合はTenor DrumやFloor Tom(または中くらいのTom-tom等)で代用することになりますが、両面ヘッドのもの、スネアドラムに張るようなノーマルなヘッドのものが良いで しょう。(ドラムセットでは高い倍音をカットするため、薄いフィルムが2枚貼り合せてある皮が張ってあることがあります。)バチはスネアドラムのスティッ クか、小さな頭の付いたティンパニー用のハードマレットが良いでしょう。

Perc.3ではAntique Cymbals or Crotales (or Glockenspiel)とありGとDの2音が指定されています。前者は英語、後者はフランス語(クロタル)での表記で、この場合は全く同じ楽器を指し ていると考えられます。(クロタルの方はもう少し意味がひろく、Metal CastanetsやFinger Cymbalsも表します。ただし、これらの楽器には明確な高さの音は出ません。)
楽器は直径10~15cm位、厚さ5mm位の円形で明確な音律 を持っていて、実音で記譜されます。音色はグロッケンシュピールより柔らかく、ヴィブラフォンより硬い感じです。中心の穴に紐を通し、2枚のふちを打ち合 せることで奏しますが、1枚を硬いマレットで叩く方法もあります。楽器がない場合はGlockenspielで代用しますが、実音は2オクターブ高いこと を考慮して下さい。

オプションのVibraphoneは、コントラバス用の弓で弾くように指示されています。共鳴パイプの中のファン(羽 根)がパイプを塞がない位置になっていることを確認して下さい。弓の根元を音板に付けてからダンパーペダルを踏み、タイミング良く弓を引き上げて奏しま す。弦楽器でいう「ダウン奏法」です。(アップに見えるかも知れませんが。)

[G] の2小節目ではCl.1、4小節目はTrp.1、8小節目はTrp.2と同じ長さだけ響かせて音を止めましょう。
[ I ] のB.Dr.は、St.B.のPizzと同じ余韻を作りましょう。
[J]からのDr.は出来るだけ右手(利き手)で奏し、拍裏の8分音符は左手になるようにしましょう。

【日比一宏プロフィール】
武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。東京吹奏楽団 ティンパニ奏者の他、国内外のオーケストラ、吹奏楽団、スタジオ、テレビ、ミュージカル等で活動。現在、東京ミュージック&メディアアーツ尚美、東京学芸大学音楽科 各講師。