尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2010年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

II. オーディナリー・マーチ (高橋宏樹)

パート別ワンポイントアドバイス(コントラバス編/講師・小室昌広)

野崎和宏ブラスにおけるマーチは、管楽器の演奏を容易にするために、調号に♭が多く付く調が選ばれます。(一般的なブラス編成の楽曲にもこの傾向はみられます。)

対 して、ストリング・バスは、弦楽器の特性として調号に♯が多い調のほうが演奏が容易です。ブラス・マーチにおいては、解放弦を使う機会が少なく、A♭・ D♭など押さえにくく音程が定まりにくい音が主要音となることにより、ストリング・バスの演奏が難しくなり、合奏全体のバス音域の音質にあまり良くない影 響を与えています。

このようなことを解消するために、ストリング・バスの解放弦の音を全て半音上げて、上からA♭・E♭・B♭・Fとする ことを提案します。これにより、演奏は容易になり、音程も他の管楽器と調和しやすくなり、なによりブラス内でのストリング・バスの響きが聞き取りやすく、 明るくなるでしょう。この調弦システムは「ブラス・チューニング」と呼ぶことが出来るでしょう。

ただし、これには、譜面の移調(in D♭)が必要です。音感のよい人は、出てくる音と指の相違に戸惑うかもしれません。しかし、コントラバスにおいてソロを演奏する際には、各解放弦を全音上 げる「ソロ・チューニング」が存在します。これにはin D♭の譜面を使い演奏します。順応には若干の時間がかかりますが、個人の能力に合う様々な対応方法が考えられることでしょう。

更に楽器の 状態にも注意が必要です。弦の張力が高まるので、楽器にかかる負荷も大きくなることを考慮します。魂柱の影響が出てしまっている楽器では、あまりお勧めできません。しかし、前述の「ソロ・チューニング」用の弦を使えば、むしろ張力は緩くなり、響きも豊かになる可能性もあります。

普及していない調弦法なので、詳説しましたが、適切に使えば大きな効果が得られると思います。

マー チにおける低音パートは歩調を表現しています。推進力のある音を作るように心がけましょう。Arcoでは弓の速度が速く、弓の全域を使えるようにしましょう。Pizz.では指の力ではなく、「体の重さが弦に乗る」奏法を研究しましょう。このとき、指は重さを支えるため固める必要があります。

【小室昌広プロフィール】
1989年、東京芸術大学卒業。1992年同大学大学院音楽研究科修士課程修了。コントラバスを加藤正幸、永島義男の各氏に師事。L.シュトライヒャー、F.ポシュタ、F.ペトラッキの指導も受ける。作・編曲、指揮も手掛け、その作品は 東京交響楽団等で演奏されている。都内すべてのプロオーケストラでの経験をもち、東京ゾリスデンアンサンブル・オブ・トウキョウなどの室内楽団でも演奏す る。草津、倉敷、宮崎などの各音楽祭に出演。東京芸術大学及び尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。