尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

V. 香り立つ刹那(長生 淳)

パート別ワンポイントアドバイス(コントラバス編/講師・小室昌広)

野崎和宏まず、ハーモニクス(Harmonics)の音を出すために触れる弦上の点を解説します。

(1) 3小節目のGisは開放弦Eの音の5倍音(周波数が5倍)に当たり、開放弦Eの全長を5等分する点のいずれに触れてもGisが取り出せます。第1ポジション4の指(押さえるとGis)の点が一般的ですが、第4ポジション4の指(押さえるとH)の点でも同じ音が出ます。ただし純正3度の音ですので音程としてはかなり低く(およそ20セント)なります。

(2) 95小節のEは、開放弦Aの6倍音となり、弦全長を6等分する点のうち、最も駒に近い点、あるいは最も枕に近い点を触れることで取り出せます。また、分割点5個のうち至近の2点両方を触れることでも発音可能です。ここではピッツィカートで発音するため最も駒に近い点が辛うじて音が鳴る点です。指板がなくなる先のあたりにあります。弾くと同時に触れていた指も離すことが必要です。触れたままだと、それだけで弦の響きを止めてしまうからです。

(3) 95小節のEは、開放弦Aの3倍音です。第3ポジション4の指だけで触れることで取り出せます。 4小節、6小節にある32分音符の3連符はソロなので、次の音への方向性を示しながらしっかり音をだしましょう。

17小節のピッツィカートはサスペンデッド・シンバルの動きに色をつけるように。 32小節では、ffに達する拍を明解にするために弓を再加速するように弾きます。タイですが、ひと弓で2音を表現します。 57小節はリテヌートから、テンポを回復するフレーズです。直前の緩んだテンポに影響されず、速やかに動き出しましょう。

44小節からは曲中最も軽快な場面です。13拍子は最後の16分音符が付加された音であることを表現しましょう。 65、66小節は全てダウンで鋭く弾くとリズムの噛み合わせが感じられるでしょう。

67小節から87小節までは、他の低音楽器とともに旋律を扱っています。これに様々な装飾が中・高音楽器で散りばめられます。様々な表情を入れて主体性をもって演奏出来るといいでしょう。

93小節のHの音は威圧的・衝撃的な音で終結の荒々しさを演出します。アンサンブルが作り上げるクレッシェンドを断ち切る役目を果たしましょう。

【小室昌広プロフィール】
1989年、東京芸術大学卒業。1992年同大学大学院音楽研究科修士課程修了。コントラバスを加藤正幸、永島義男の各氏に師事。L.シュトライヒャー、F.ポシュタ、F.ペトラッキの指導も受ける。作・編曲、指揮も手掛け、その作品は 東京交響楽団等で演奏されている。都内すべてのプロオーケストラでの経験をもち、東京ゾリスデンアンサンブル・オブ・トウキョウなどの室内楽団でも演奏する。草津、倉敷、宮崎などの各音楽祭に出演。東京芸術大学及び尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。