尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

V. 香り立つ刹那(長生 淳)

パート別ワンポイントアドバイス(オーボエ編/講師・市原 満)

市原 満Tempo flessìbile=柔軟な(自由な)テンポで、と表記され、♪=92~112という幅のあるテンポ指定のこの曲は、作曲者がプロローグで「アゴーギクはこの曲の最大の要」、「ひとつとして均等な拍はない」、「楽譜から先のところで競う」と述べているように、個々の音楽的センスが問われる作品。ちょっと前衛的だけどじっくり譜読みしていけばそれほど難曲ではないから、ぜひチャレンジしてほしいね。

Tempo flessìbileでも最初はアゴーギクを付けずに、一定のテンポで練習すること。フィンガリングが難しければ、当然倍、いや、それ以上遅くしてしっかり音の構造が理解でき、スムーズに演奏できるようになるまで、繰り返し練習することをオススメする。
例えば、あるパッセージをメトロノームつけたまま、テンポを変えずに10回繰り返してみよう。

どこかにアゴーギクを付けたくなったでしょ?「ここ少しテンポを揺らしたら美しいかも」なんて思っても、まだまだあと10回繰り返してみよう。もちろんメトロノームありで。さあどうかな?さっきよりももっと何かをやりたくなっているはず。「よ~し、今度はこんな感じで吹いてみようか!」。ちょっと待った!!まだまだまだ~!あと10回何もしないでin tempo。どうでしょう?30回メトロノームで一定のテンポを繰り返すと、どうしても、切実に、「ここに少し遅くしたい~」や「ここはちょっと前向きなテンポ!」など、人の真似ではなく、自分の表現方法が具体的に構築できるようになる。

30回で思いつかなければ50回でも100回でもやってみよう。模倣ではない、自分の音楽表現は、説得力抜群。というわけでこの曲に関しては、先入観を持たないようにするために、音源を聴かないほうがイイね。って、もう聴いちゃった~?忘れてくれ~!

フィンガリングはどのパッセージも難しいので、「指の動きは極小さく」、「指は正しく合理的な形で」などの基本的なことをふまえて、ゆっくりから練習すること。もちろんソルフェージュは最重要ポイント。実際に演奏する速度で階名で言えるようにし、その後音程も正しく歌えるようにすることが大切。

f ff で音程が高くなってしまう音、HighC#、D、E♭は以下のフィンガリングに右薬指でDキーを押えると低くなるのでお試しあれ。
フィンガリング
High E♭はこのフィンガリングだと pp ff までクリアな発音と安定した音程を得られるから是非使ってみてね。

フィンガリング

[G]2小節目(62小節)にHigh Eが一回だけ出てくる。フィンガリングは2種類。安定しているのは(1)、ちょっと不安定だけど指が楽なのは(2)。

フィンガリング

[I]はAcceso=興奮した、と記され、♪≒160のテンポ指示。かなり速いから3連符はトリプルタンギング「Tutuku Tutuku」がベスト。シングルタンギングだとちょっと重い感じになってしまうからね。もちろんフルートもクラリネットもトリプル必須。アッ!木管(リード)楽器もダブル&トリプルタンギングは18世紀から普通に使っているからね。別に特殊な技術ではないので、できなければ練習してね。

【市原 満プロフィール】

トランペットを北村源三、北川晋、故金石幸夫の各氏に師事。80年東京芸術大学音楽学部別科修了。同年オーボエに転向。似鳥健彦氏に師事した後、81年ドイツに留学。ベルリンでハンスイェルク・シェレンベルガー(ベルリンフィル首席)、ミュンヘンで故マンフレッド・クレメント(バイエルン放送響首席)の各氏に師事。86年帰国後、多数のリサイタル、ソロコンサートを開催。NHK-FMリサイタル出演等ソロの他、木管五重奏団「アマデウス・クインテット」を主宰、活発に演奏活動を行っている。また全国各地で、吹奏楽コンクール、アンサンブル・コンテスト等の審査員や吹奏楽講習会、オーボエクリニックの講師を務める他、「バンドジャーナル・MANちゃんの木管アンサンブルの楽しみ(現在連載中)」の連載等執筆活動も行い、多方面で活躍している。
玉川大学芸術学部講師、尚美ミュージックカレッジ専門学校講師、日本オーボエ協会常任理事。

市原満公式ホームページ:http://ichihara-man.com/