尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI講師陣による課題曲講座

 

V. 香り立つ刹那(長生 淳)

パート別ワンポイントアドバイス(サクソフォーン編/講師・原 博巳)

原 博巳各パートが技術的にとても難しく、使用する音域が広くリズムも複雑で、難解な印象を抱いてしまいますが、作品自体が緻密に書かれているので、演奏者は書かれた音符を書かれた表情記号に乗せて演奏しさえすればまとまり良く仕上がり、音楽的には大きく、ざっくりと、そして単純に考えていくことがポイントです。

色々な楽器から、旋律の断片が雲のように現れては消え、またソロ、アンサンブル、トゥッティと様々な形態から実態のはっきりしない旋律が登場してきます。そんな中で「一瞬の永遠」のようなハッとする場面があり、音の形や強弱を瞬時に変化する鮮やかさが求められます。

技術的にはなめらかな曲想にもかかわらず、音の跳躍が甚だしいので、跳躍する音へのイメージをしっかり持って、息の質感や舌の位置、アンブシュアの準備を素早く整える必要があります。

冒頭はアルトから始まりますが、アタックは可能な限り柔らかく、あるいはノーアタックでも結構だと思います。どこからともなく沸き立つようなクレッシェンドを、その後頻繁に出てくる強弱の変化やリタルダンド等の速度変化では、風景が広がったり、または遠退いたり近付いたりするような距離感や立体感を感じて表現したいですね。

アルト1stは [F] 6小節目と [L] 6小節目に高いソは以下の運指を参考にしてください。

【原 博巳プロフィール】
東京に生まれ、幼少から神奈川県鎌倉市で過ごす。 東京ミュージック&メディアアーツ尚美(現 尚美ミュージックカレッジ専門学校)、東京藝術大学音楽学部別科を首席で修了。サクソフォンを服部吉之、冨岡和男の両氏に師事。
1996年 第13回日本管打楽器コンクール サクソフォン部門第一位、2002年 第3回アドルフ・サックス国際コンクール第一位(日本人初)
2003年 アメリカのミネソタ州ミネアポリスに於いて開催された第13回ワールド・サクソフォン・コングレスに参加、2006年はスロベニアのリュブリャナで開催された第14回同コングレスではジェローム・ラランと共に鈴木純明作曲「2つのソプラノサクソフォンの為のアンチエンヌ」を世界初演、また閉幕コンサートではスロベニア警察音楽隊と共にアンドレ・ウェニアン作曲「アルトサクソフォンと吹奏楽のための二つの断章」を演奏し好評を博した。
2004年 神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏会にソリストとして出演し、エイトール・ヴィラ=ロボス作曲「ファンタジア」、ポール・モーリス作曲「組曲『プロヴァンスの風景』」を共演。
2007年 フランスのパリ、キャプヴェルンの2箇所で演奏会とマスタークラスを開催し、2008年には東京の浜離宮朝日ホールに於いて野原みどり(ピアノ)と共に株式会社野中貿易主催による邦人現代作品からフランス近代作品を集めたリサイタルを開催、その中で鈴木純明作曲「アルトサクソフォンの為のスフルスティック」を世界初演し注目を集めた。また同年 台湾の嘉義市で開催された吹奏 楽祭「2008嘉義市國際管樂節」に招かれ、ジェローム・ララン、ティボー・カナヴァル、大石将紀らと共に四重奏で参加し高い評価を得た。
2004年4月から1年間、音楽之友社から刊行されている「バンドジャーナル」の誌上にある「ワンポイントレッスン」を執筆する。1999年にはラジオ「NHK-FMリサイタル」に2度出演、2008年 NHK-FM「名曲リサイタル」に出演した。

CDはこれまでに伊藤亜希子(ピアノ)と共に「森の静けさ」を、伊藤富美恵(ピアノ)と共に「PCF」を、そして野原みどり(ピアノ)、橋本晋哉(テューバ)、久保智美(オンド・マルトノ)らと共に「レチタティーヴォ・ファンタジア」をそれぞれカフアレコードからリリースしている。

教育活動は2003年4月から洗足学園音楽大学、洗足学園高等学校を、加えて2005年4月からは母校である尚美ミュージックカレッジ専門学校で後進の指導にあたっている他、2008年 第25回日本管打楽器コンクール、 2010年 第5回アドルフ・サックス国際コンクールの審査員を務めた。