尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2013年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI 講師陣による課題曲講座

 

III. 復興への序曲「夢の明日に」 (岩井 直溥)

パート別ワンポイントアドバイス(コントラバス編/講師・小室昌広)

小室昌広全曲を通して現れるポップスリズムは8分音符がいかに引き締まった音になるかがカギになります。とかく演奏しやすい四分音符音符だけが聴こえて、ノリを作る八分音符が軽くなってしまいます。特に八分休符の後、拍の裏に入れる八分音符はボディブロウのようにバシッとはまる音を出せるようにしましょう。

冒頭の2小節のボウイングは以下をお勧めしておきます。(n→ダウン、v→アップ)

n n v | n v

1小節目2拍目のダウンは1拍目が短くなって構わないので、少し弓を戻して正確なタイミングで弾きます。2小節目のピッツィカートの前がアップになり、移行は多少やりやすくなります。しかし、音符が示す通りに演奏することは不可能です。ピッツィカート直前の音はわずかに音価を短く処理し、ピッツィカートをはじくための体勢づくりの時間を確保しましょう。

6小節目からも前記と同じです。

18小節目のarcoからのボウイングは

v n v n n v

が良いでしょう。特に最後の2音を機敏に演奏できるかが肝要です。

練習記号[B]の1小節前も同じです。

練習記号[C]の2小節前からのようなリズムはひとつひとつの音に弾むような表情が必要です。「音符が示す長さを弾く」と考えると音の表情が平坦になります。「音符がもつ勢い(エネルギー)を表現する」と考えて、ある音が次の音を導き出せるようにするにはどうしたらよいかを考えてみましょう。

実は音価が短い音のほうが、エネルギーは圧縮されているので、勢いのある音となります。音価の長い音は勢いがありすぎると長持ちしないことは想像できるでしょう。短距離走のペースで長距離は走れませんね。

43小節のスラーは弦楽器にとっては長いので、音符4つ単位で弓を返しましょう。

ブラスの曲ではスラーは管楽器向きに書かれているので、スラーによるフレーズ感を変えないことを前提に、ボウイングはスラーにこだわらず、いろいろなアイデアを試みましょう。

「ブラス・チューニング」(As・Es・B・F)を用いると、様々な場面で弾き易さと響きの豊かさを感じることができるでしょう。練習記号[E]以降では、鳴らしたい音が解放弦となり、クライマックスに貢献できる音がだせるでしょう。

ブラス・チューニングを実践する場合は弦の種類にも気をつけてください。コントラバスにはソロ・チューニング(A・E・H・Fis)用の弦というものもあります。これを使うと、楽器への負荷が少なくなります。

【小室昌広プロフィール】
1989年、東京芸術大学卒業。1992年同大学大学院音楽研究科修士課程修了。コントラバスを加藤正幸、永島義男の各氏に師事。L.シュトライヒャー、F.ポシュタ、F.ペトラッキの指導も受ける。作・編曲、指揮も手掛け、その作品は 東京交響楽団等で演奏されている。都内すべてのプロオーケストラでの経験をもち、東京ゾリスデンアンサンブル・オブ・トウキョウなどの室内楽団でも演奏す る。草津、倉敷、宮崎などの各音楽祭に出演。東京芸術大学及び尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。