尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2013年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI 講師陣による課題曲講座

 

III. 復興への序曲「夢の明日に」 (岩井 直溥)

パート別ワンポイントアドバイス(パーカッション編/講師・渡辺由美子)

渡辺由美子Drum setの活躍する曲で、打楽器としては腕がなりますね!ドラムセットは、B.D.、Tom(F.Tom )、S.D.、H.H.、S.Cym.(クラッシュ)、R.Cym.(ライド)とセットしてみましょう。サウンドが立体的になるように楽器の選択やチューニングも大切です。
Tamb.は、リズムをタイトに表現できるようなもので演奏しましょう。場所によってはモンキータンバリンで演奏しても良いと思います。
S.Cym.は、16〜18インチで立ち上がりの速いクラッシュタイプと、18〜20インチなどの倍音がしっかり出る物を用意し、場所によっては、響きよりもツブ(ライドなど)を重視したもので演奏しましょう。マレットは、リズムの輪郭がでる(糸は硬めで、中は反応が良いプラスチックや硬いゴム)マレットで演奏すると、濁りが気にならないと思います。
Glockは.キラキラとバンドから抜けて聞こえるマレットが良いでしょう。管楽器のアーティキュレーションを楽譜に書き写し、管楽器のニュアンスで演奏してください。
Timp.は、オプションになっていますが、人数が足りるようであれば、是非入れましょう。
この曲は、32"、29"、26"の3台でも演奏できます。
セッティングですが、Drum setの近くにTamb.などのリズム楽器を配置するとアンサンブルしやすいでしょう。

リズムの要となる打楽器は、まずこの曲を演奏する前に、「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」などのポップススタイルを勉強する必要がありますね。課題曲ではありますが、ポップス的なノリやビートを習得してから曲に入りましょう。
冒頭は、指揮者の合図で管楽器のブレスを意識して入ります。打楽器全体がfとなっていますが、全てにアクセントがついているような音ではなく、良い音で四分、八分、十六分音符が立体的に見えるように演奏しましょう。
Tamb.やDrum setにある2拍目、4拍目のアクセントは、曲に合わせて指を鳴らすようなイメージで演奏しましょう。メロディーを歌いながら自分のパートを刻めるようにすると良いと思います。
[B]のTamb.はメロディーラインが中低音なので鈴の鳴りを考え、振りの演奏ではなく、楽器を横に倒して指でコンパクトに叩いても良いでしょう。
34小節目のGlock.は、左手で下の音Fと、上の音Eを叩き、右手で音板をgliss.(擦る)と良いでしょう。右手の握りやスピードを変えると、クレッシェンドがかかります。
36小節目のTomは、次のfzを引き出すよう、しっかりとした密度の濃い音が欲しいですね。
[E]、[G]のGlock.は、メロディックに演奏しましょう。息で吹いているイメージです。
H.H.の弱奏は左右の音色にこだわりながらもノリを大切にしましょうね。
[E]からのDrum setのS.Cym.とPerc.2のS.Cym.が音のケンカをしないように、後者はマレットでソフトに演奏しましょう。 77小節目のTomは、F.Tomでも良いでしょう。ここは、是非Timp.が欲しいですね!
Grave(95小節目から)のS.Cym.は、倍音が多いと良いと思います。またGlock.は、チャイムのようなイメージで演奏しましょう。
Drum setのS.Cym.は、スティックで叩きますが、響きを重視したい場合はエッジをショルダーで、美しい粒を印象づけたいのならばチップで、カップ寄りではなく、良く響くエッジよりを叩くなど、探求してください。
99小節目ffは、しっかりと決めますが、良い音で演奏しましょう。
101小節目のGlock.は、管楽器のニュアンスに合わせ演奏できると良いですね。

ラストは、バンド全体のユニゾンです。しっかりと決めて音楽を締めくくりましょう。

余談…昭和時代の全国大会、当時は朝から晩まで前半、後半のくくりがなく、審査結果にとても時間が要されていました。その時間に審査員の先生がお言葉をくださるのですが、私が中学三年生の時に、岩井直溥先生がくださったお話が体に染みついています。ビデオで何十回も聞きなおしました。

「ただ、音符を追いかけて、音を合わせたりすることが音楽ではない。表現をしなさい!君たちにしかできない音楽を表現しなさい!!」

この課題曲の楽譜を見て、中学生時代の自分を思い出しました。
岩井先生、ありがとうございます。

パート別ワンポイントアドバイス"動画編"

【渡辺由美子プロフィール】
静岡県富士宮市出身。東邦音楽大学90回定期演奏会にソロ出演し、数々の学外コンクール受賞にあたり表彰を受け、首席で卒業する。1995年、読売新聞社主催第65回新人演奏会出演。東京コンセルヴァトワール尚美(現・尚美ミュージックカレッジ専門学校)ディプロマフレッシュコンサート1995、1996年に出演。静岡においてソロリサイタルを開催。打楽器を百瀬和紀、マリンバを安倍圭子、L.H.スティーブンス各氏に師事。
2002年高知国体音楽講師。2006年度バンドジャーナル誌ワンポイントレッスンを担当。ブレーン株式会社刊行Winds DVD「上達が実感できる“基礎合奏”」、「2007年全日本吹奏楽コンクール課題曲合奏クリニック」「2008年全日本吹奏楽コンクール課題曲合奏クリニック」、ジャパンライム株式会社刊行DVD「中学生バンドの運営と音づくり」、株式会社ユニバース刊行DVD「吹奏楽サウンドアルバム」、各打楽器指導及び監修。2009年第40回日本吹奏楽指導者クリニック(Japan Band Clinic)、同年シモクラドリームフェアの各打楽器講師を務める。2007年自らが主催するDiscussion of Percussion "Q21"では、池野成メモリアルコンサートにおいて「ディベルティメント」を初演、2006年アメリカ・シカゴにて第60回ミッドウエストバンドクリニック(The Midwest Band Clinic)にゲスト出演し絶賛を博する。ブレーン株式会社刊行【Winds DVD】楽器別上達クリニック パーカッション・マスターVol.1、Vol.2、Vol.3、Vol.4、を監修。ねんりんピックよさこい高知2013音楽講師。
現在、尚美ミュージックカレッジ専門学校、尚美ミュージックカレッジ専門学校コンセルヴァトアール ディプロマ科非常勤講師。東邦音楽大学附属東邦高等学校、埼玉県立松伏高等学校音楽科各講師。Discussion of Percussion "Q21"主催。吹奏楽コンクール、アンサンブルコンテスト、クラシックコンクールなど各審査員を務める傍ら、1996年から毎年ボランティアコンサートを続けている。
日本打楽器協会理事。日本管打・吹奏楽学会吹奏楽クリニック委員。アメリカ合衆国イリノイ州ネーパービル市名誉市民。ソナー・ドラムス SQ2 クラシカルアーチスト。


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