尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2013年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI 講師陣による課題曲講座

 

III. 復興への序曲「夢の明日に」 (岩井 直溥)

長生 淳氏・佐藤正人先生・渡辺由美子先生による鼎談

佐藤:久々のポップス課題曲ですね。

渡辺:ドラムセットがないときの感じが、かなり違って聴こえると思います。

佐藤:岩井先生は昨年から「そこが作るとき難しかった」と言っていました。イントロから音やリズムの処理、バランス、テーマの出し方等、奏者や指揮・指導者のポップスの経験やセンスが、演奏を聴けば、すぐわかってしまいますね。

長生:そうですね。多彩な和音、さすがだなぁ。サウンドだけでなく、つながり(カデンツ)も大事です。[A]1小節前のドッペルドミナントの代用→ドミナント〜トニック([A]のテーマ)、[E]の2小節前→ドッペルドミナント→ドミナント→[E]入るところがトニック。[E]から、カデンツ(Iに向かう)を繰り返しつつ、なかなかきちんと満足する形で解決しない。偽終止が多い、→[H]のⅤの和音→Iも威力倍増。

佐藤:この始まり方、私たちが聴くと『おっ!岩井先生のサウンドだ』ってなりますよね(一同うなずく)

長生:その通りです。19小節目からの木管の旋律は岩井先生ならでは、という感じがします。

佐藤:ビッグバンドスタイルのサウンドですね。ポップスの演奏、セオリーに精通していることが大事。

長生:本当に知っているか、まったく知らないかでは、雲泥の差があります。

佐藤:演奏の際には吹き方を熟知している必要があります。中途半端なリズムの表現にならないように。音程(コード)を合わせるときは、平均律で。ドラムス、打楽器とベースラインにテンポ・ビート感を合わせるのは鉄則です。

長生:スタイルが分からない人は、ニューサウンズの岩井先生のアレンジ聴きますか。

佐藤:そうですね。たとえば2小節目の音は全部伸ばしっぱなしではなく少し抜くとか。Aの音の処理、アーティキュレーションの扱い、後半は特にスタイルに精通してないと。どこの旋律や声部、セクションを出すか、バランスやビート感、音色の使い分け、演奏するのが楽しみです。

長生:サックスとかポルタメント?入れても良いですね。

佐藤:奏法的には良いと思いますが。楽譜を変えている?と言われますか?スタンドプレイとか(笑)

渡辺:やはり、音は岩井サウンド、ニューサウンズですね!リズムの表現、大事です。

佐藤:マーチはマーチらしくと一緒でポップスもポップスらしく、ですね。何回も岩井先生と一緒に演奏できて良かったです。演奏はポップスも技術だけではなく表現の芸術だ、といつも言っていました。

渡辺:秋田吹奏楽団、毎年いらしていましたね。天野先生と佐藤先生も演奏に参加して。

佐藤:はい。30年来だそうです。御年90歳!(皆から「おー!」の驚嘆の声)

長生:卒寿ですね。いまだ現役で。素晴らしい!の一言。中高生が演奏するには少し難しいかな。でもこのようなスタイルの音楽に若い人たちが触れることも大事です。

佐藤:そうですね。テンポは ♩=116が上限で、これ以上速くすると、リズムが崩れやすくなるので、テンポ設定がカギですね。

佐藤:Aのテーマやカウンターメロディはリズム隊に乗ってアーティキュレーションを合わせたいです。[B]からもTrb.の柔らかいサウンドと33小節目からの木管のオブリガートや決め所、さすがです。

長生:はい、[C]のメロディラインの進行や41小節目の対比もすごく面白い。

渡辺:Drumsで演奏しないときの音というか、ノリもかなり違いますね。

長生:そうですね。でも学校にDrumsあるのに使わないのはあり?あるけど叩けないとか。

佐藤:はい、使用楽器の申告は有りませんのでご心配なく(笑)。[D]から[E]に入るまで、テンポの揺らし方や音色はセンスが問われますね。テンポや音の形をどうするかで印象が全く変わってしまいます。

長生:中間のバラードはたっぷりやりたいですね。

佐藤:そうですね。[F]からホーンセクションはスタンドプレイとか良いですね。コンクールではだめか。

長生:私は良いと思いますが。

渡辺:賛成です。Sax.がカッコよくソロ吹くのはスタンドしか考えられません(笑)。

長生:52小節目のフェルマータは伸ばしっぱなしじゃなくて、ゆっくりdim.しながらでも良いですね。ソロとの間は空けても良いです。

佐藤:この間にスタンドプレイできる余裕みたいのもあって良いですね。

渡辺:大人のバンドで聴きたいです。

佐藤:49小節の a tempo は色々な解釈ができますが、ハリウッドのショウ・ミュージックのように自由な感じで演奏したいですね。速度は落ちまずが、音楽の流れや音色の感じ方、サウンドで色を変えたいです。ダイナミクスのコントラストもさすがです。[G]のSlow Rockから[H]、岩井先生サウンド、ハリウッド映画のスクリーンミュージック全開ですね。最後にGraveも岩井先生ならではです。 ※ Slow Rockがどんな曲の感じか?とかShow Music Styleは何の曲のイメージか?とか(「踊り明かそう」や「すてきな日々」「メイン・ストリートで」他)、色々な作品が上がっていました。

長生:そこ、最後のリズムの決めが、Asですが「夢の明日に」にかけている?

一同:ほんとだー。面白い!

佐藤:とてもエンターテインメントに長けていらっしゃるので、そうだと思いますが確認しておきます。

長生:演奏にテンションがある程度必要ですが、美しいサウンドやそれぞれの部分のスタイル感も出ると良いですね。ぶつかっている音でも心地良い音が出せるように探ってほしいです。

佐藤:はい。ポップスの吹き方、特に奏法上、楽譜上の決まり、アーティキュレーション通りに演奏するか等の不文律というか、ポップスの奏法を研究したいですね。


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