尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI 講師陣による課題曲講座

 

I. 最果ての城のゼビア (中西 英介)

パート別ワンポイントアドバイス(コントラバス編/講師・小室昌広)

小室昌広 この曲でコントラバスパートがもっとも重要な役割を負っているのは、練習記号[M]からのピッツィカートでしょう。楽曲のエピローグを情感深いものにする音色が必要です。
コントラバスのピッツィカートは余韻を長く保つことができます。その響きが豊かであるとアンサンブルの雰囲気全体に魅力が出てきます。そのような音を作るコツを紹介します。

まず、楽器のセッティングです。弦が旧いと柔軟性がなくなっており、余韻が残りません。また、駒が高く弦のテンションが高すぎるとやはり余韻が早く無くなります。指板と弦がぶつかる音を嫌って、両者の距離をかなり空けるケースが多いようですが、弾き方を工夫すればかなり狭くてよく、また左手もしっかり押さえられます。指板の突端あたりで弦と指板の間に小指がなんとか入るくらいで良いです。楽器店で駒を調整してもらってください。

ピッツィカートは「指で弦をはじく」などと言われるので、そのとおりにやっている人も多いでしょう。しかしそれではひ弱な音しか出ないとおもいます。指の筋肉は体の端にあるので筋肉が少ないのです。コントラバスの太い音には力不足です。
ピッツィカートは「身体のなかに宿るエネルギーを指に集約させて、それを逃がさず弦に伝える」とイメージしてみましょう。身体が緊張していると体内エネルギーは移動できません。ダンスを踊るようなしなやかな身体の使い方を心がけます。
そして、指が弦にしっかりまとわり付くようにセッティングし、エネルギーが逃げないように指は固くしておきます。ひっかけるだけではエネルギーは伝わりません。
腕の動きは普段弓で演奏しているときの動きを参考にしてください。音のイメージに合った動きはピッツィカートもアルコも大差がないことは想像できるとおもいます。
この演奏法に慣れると音が出る前の動きが大事で、音が出たあとの動きが不自然なことがわかります。当然です、弓で音を保っているわけではないのですから。
音が出たあとは腕があまり動かないほうが音が強くなります。なぜなら腕の運動エネルギーでロスしていた力が弦に伝わるからです。
音が出たあとの腕の動きで音の表情を表現するようにすると、音の表情が変わります。今回の場面では指先から納豆の糸が伸びてきているようなゆっくりとした動きです。

途中の8分の6拍子の表現については、II. 行進曲「勇気のトビラ」解説を参照してください。

【小室昌広プロフィール】
1989年、東京芸術大学卒業。1992年同大学大学院音楽研究科修士課程修了。コ ントラバスを加藤正幸、永島義男の各氏に師事。L.シュトライヒャー、F.ポシュタ、F.ペトラッキの指導も受ける。作・編曲、指揮も手掛け、その作品は 東京交響楽団等で演奏されている。都内すべてのプロオーケストラでの経験をもち、東京ゾリスデンアンサンブル・オブ・トウキョウなどの室内楽団でも演奏する。草津、倉敷、宮崎などの各音楽祭に出演。東京芸術大学及び尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。