尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI 講師陣による課題曲講座

 

I. 最果ての城のゼビア (中西 英介)

パート別ワンポイントアドバイス(パーカッション編/講師・渡辺由美子)

渡辺由美子この曲は、作曲者の思いのとおり、映画の予告編のように面白い曲ですね。打楽器もとても効果的に使われています。強弱とTempoが音楽の大半を占めているので、打楽器のバンドにおけるポジションは大きいです。
まず、演奏前に楽器のチューニングをしましょう。Tom-tomは大小2台を三度から五度離したチューニングにし、S.D.からTom-tomの小さい楽器、大きい楽器、Timp.、そしてB.D.の八つの楽器のピッチを変化させることで色彩豊かになります。使う楽器のサイズやコンディションに合わせて研究してみましょう。
セッティングも大切です。Sus.Cym.と、Wind.Chimeが複数で演奏することになりますので、移動が音楽の妨げとならないように。人数に余裕があれば、Sus.Cym.専属の人を配置すると移動や楽器の持ち替えがスムーズになります。また、S.D.とTamb.は緻密なアンサンブルが要求されるので、お互いの楽器を接近させて演奏することをお勧めします。S.D.とTom-tom、B.D.もお互いの動きが見える位置にセットし、Tom-tomは、利き手側に高い音がくるようにすると演奏しやすいでしょう。
また、パート割について、Tamb.はとても“技”がいりますので器用な人、Xylophoneはテンポでスケールができる人、Glock.、Vibraphoneは歌心がある人、Timp.は音感がある人、S.D.とTom-tomはテンポ感の良い人…どのパートもやりがいがありますね! 努力に勝る天才なし!!
この曲のTimp.は4台(32、29、26、23)ですが、音変えが多い! 半音などの音変えが随所にでてきますが、どの楽器でいつ音を変えるのかなど研究してみましょうね。ピアノやマリンバなどの鍵盤で音を確認してみましょう。
冒頭に出てくるTom-tomのRuff(ラフ)は、装飾音符二つを片手でLLR (RRL)、または交互のストローク RLR(LRL)です。ルーディメントが得意でなければ前者が良いでしょう。ツブ立ちによっても曲のイメージが変わりますね。オープンで奏するのか、クローズで転がすのか。どちらにしてもタイミングは前に出し過ぎないようにしましょう。
[A]は管楽器とのアンサンブルと、ソロが入り混じっていますが、個々でテクニックを磨きその後に合わせる事をポイントにおきましょう。Tamb.は親指とそれ以外の指でダブル奏法します。または、膝に楽器を置いて両手で叩くことも出来ます。いずれにせよTambは鈴がしっかりと反応する物を使いましょう。タンバリンの音色でバンドのカラーが変わりますね。いくつかあるようでしたら、合奏で試してみると良いでしょう。
[B] S.D.のrimは、リムショットでしょうか。クローズド・リムショットか、オープン・リムショットでしっかり決めましょう。小太鼓はおいしいですね(目立って格好がいいという意味です)! 楽器の一番良い音で、リズムよく演奏しましょう。
40小節目のB.D.は、バンドを包み込むような深い音で欲しいですね。Glock.は、Euph.とのSoliは呼吸を合わせ演奏しましょう。
[D]の打楽器はfですが、音量よりもノリを大切に、バンドを引張っていきましょう。
[E]のXylophoneはレンジが広く低い音も出てきますので、打音よりも音程が見えるマレットを選択し、体重移動をしっかり行い、歌を唄うイメージを持って演奏したいですね。
[H]の転調は美しいですね。打楽器も音色にこだわりましょう。決め手は、音楽が止まるようなキメにならないように、また、次の八分音符は軽くタイミング良く演奏しましょう。
108小節のC.Cym.は、テンポが速いので余動を大きく取り過ぎないように、金管のスピードを意識することが大切です。出来ればB.D.の近くで演奏したいですね。
[I]からは、木管の刻みと低音楽器のメロディーがアンサンブルしにくいのでは? 打楽器の腕の見せ所ですね! 第二の指揮者になって欲しいと思います。Tri.のクレッシェンドは音量よりも倍音を増やすイメージです。C.Cym.は、全体を通して明るいサウンドで、ここはB.D.がないので大きくなり過ぎないように、アクセントがある音もアタックを付け過ぎずに役割を考えて全体の流れにあったC.Cym.の演奏を心掛けましょう。
[J]は、まずバンド全員でリズム練習をしましょう。ブリッジの打楽器アンサンブルは、タイトにリズムの輪郭が明確に見えるように演奏し、allarg.はパート内練習でS.D.さんに指揮をしてもらうと良い練習になりますよ。Wind Chime、音楽に合わせ速度変化を。
[L]からのSus.Cym.は、ロールでの響きの役割や管楽器と一緒に演奏することで、音に輪郭をつけ、また効果音を奏す部分もあります。それぞれ用途を考えて演奏しましょう。Malletsは、頭の大きいソフトマレットではなく、使用するSus.Cym.に適した頭の小さな綿巻きマレットなどを使うと良いでしょう。ロールの時は演奏スタートをきれいに始め、音の止め方も意識しましょう。音の処理で印象が変化します。それも含め奏法なども研究が必要ですね。
[M]のVibraphoneは2本でも4本でも演奏できますね。お琴のイメージでしょうか。音色を考えながら演奏できるようにしたいですね。Glock.は、息を吹きながら演奏してみるとフレーズが見えてくると思います。感情的に表現しましょう。Sus.Cym.は風が頬をかすめるようなサスティーン(音の伸び)をイメージしてください。Vibraphoneは154小節目にFの音が出てきますが、楽器の音が足りない場合は、下からDADでしょうか。ラストのロールの部分は奏でるイメージで演奏し、管楽器のハーモニーの中に溶け込ませるような美しいクレッシェンドとディミヌエンドで表現できると良いでしょう。

それぞれの場面のリズムにのって躍動感あふれるステキな演奏を目指してください!!

【渡辺由美子プロフィール】
静岡県富士宮市出身。東邦音楽大学90回定期演奏会にソロ出演し、数々の学外コンクール受賞にあたり表彰を受け、首席で卒業する。1995年、読売新聞社主催第65回新人演奏会出演。東京コンセルヴァトワール尚美(現・尚美ミュージックカレッジ専門学校)ディプロマフレッシュコンサート1995、1996年に出演。静岡においてソロリサイタルを開催。打楽器を百瀬和紀、マリンバを安倍圭子、L.H.スティーブンス各氏に師事。
2002年高知国体音楽講師。2006年度バンドジャーナル誌ワンポイントレッスンを担当。ブレーン株式会社刊行Winds DVD「上達が実感できる“基礎合奏”」、「2007年全日本吹奏楽コンクール課題曲合奏クリニック」「2008年全日本吹奏楽コンクール課題曲合奏クリニック」、ジャパンライム株式会社刊行DVD「中学生バンドの運営と音づくり」、株式会社ユニバース刊行DVD「吹奏楽サウンドアルバム」、各打楽器指導及び監修。2009年第40回日本吹奏楽指導者クリニック(Japan Band Clinic)、同年シモクラドリームフェアの各打楽器講師を務める。2007年自らが主催するDiscussion of Percussion "Q21"では、池野成メモリアルコンサートにおいて「ディベルティメント」を初演、2006年アメリカ・シカゴにて第60回ミッドウエストバンドクリニック(The Midwest Band Clinic)にゲスト出演し絶賛を博する。ブレーン株式会社刊行【Winds DVD】楽器別上達クリニック パーカッション・マスターVol.1、Vol.2、Vol.3、Vol.4、を監修。ねんりんピックよさこい高知2013音楽講師。
現在、尚美ミュージックカレッジ専門学校、尚美ミュージックカレッジ専門学校コンセルヴァトアール ディプロマ科非常勤講師。東邦音楽大学附属東邦高等学校、埼玉県立松伏高等学校音楽科各講師。Discussion of Percussion "Q21"主催。吹奏楽コンクール、アンサンブルコンテスト、クラシックコンクールなど各審査員を務める傍ら、1996年から毎年ボランティアコンサートを続けている。
日本打楽器協会理事。日本管打・吹奏楽学会吹奏楽クリニック委員。アメリカ合衆国イリノイ州ネーパービル市名誉市民。ソナー・ドラムス SQ2 クラシカルアーチスト。


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