尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI 講師陣による課題曲講座

 

II. 行進曲「勇気のトビラ」 (高橋 宏樹)

パート別ワンポイントアドバイス(コントラバス編/講師・小室昌広)

小室昌広8分の6拍子の行進曲です。この拍子は演奏において感覚が難しいものです。単純な2拍子の軽い感覚に陥ったり、8分音符のビートを考え過ぎて重くなりすぎたりします。基本のビートを刻むコントラバスにも微妙な感覚が必要で、それが全体のアンサンブルの機動性を決めています。
まずは「2拍子の1拍の中が常に3連符である」拍子という感覚をもってみましょう。「1拍に8分音符が3つある」と考えるとその音符ひとつひとつを重んじ過ぎて流れを失います。1拍のなかで軽快に3つの音が流れていくことが大事です。
また、拍の中を「長+短」または「短+長」の長さの違う2音で分割するリズム感が躍動感をもって演奏できるかも考えていきます。数理的に「2対1」または「1対2」とする以上に動物的な動きが表現できるように音の内容に様々な工夫が必要です。
コントラバスのパートには単純な行進リズムが並んでいるように見えますが、4分の2拍子のように弾くとメロディーを置いて先に行く感覚になります。単純に前進する行進ではなく、一歩毎に身体を浮かせながら歩くような「上向きのビート感」が1音づつにあると、メロディーと並走する感覚が得られるとおもいます。
8分の6拍子は理性よりも感性が問われます。生命力のある音楽になるといいでしょう。

Trioからの音の流れにはメロディーのような抑揚をつけて、メロディーの流れを助けることが出来ます。ポイントは時折現れるD♭の音です。この音にフォーカスが当たるように周辺の音の表情を設定しましょう。音量も均等にする必要はありません。

ピッツィカートの音の質感に関しては、I. 最果ての城のゼビアを参考にしてください。

86・87小節のリズムは付点4分音符の弓の使い方を気をつけてください。先まで使うと次の8分音符が弾きにくいです。弓の使用量を少なくしながら重厚な音を出す工夫が必要です。

152小節から2小節に渡るスラーがあります。これは管楽器のフレーズ感を表したスラーであり、ひと弓で弾く範囲を表したものではありません。ダウンで始めて、B♭からアップで弾くことをお勧めしておきます。

表記された音符の長さに、質感・表情を加えながら演奏し、それが全体の音楽像に影響を与えられるようにしましょう。

【小室昌広プロフィール】
1989年、東京芸術大学卒業。1992年同大学大学院音楽研究科修士課程修了。コントラバスを加藤正幸、永島義男の各氏に師事。L.シュトライヒャー、F.ポシュタ、F.ペトラッキの指導も受ける。作・編曲、指揮も手掛け、その作品は東京交響楽団等で演奏されている。都内すべてのプロオーケストラでの経験をもち、東京ゾリスデンアンサンブル・オブ・トウキョウなどの室内楽団でも演奏する。草津、倉敷、宮崎などの各音楽祭に出演。東京芸術大学及び尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。