尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI 講師陣による課題曲講座

 

III. 「斎太郎節」の主題による幻想 (合田 佳代子)

天野正道先生・佐藤正人先生・渡辺由美子先生による鼎談

佐藤:では、課題曲3番を見ていきましょう。技術的には難しくないようですが、スコアを見でいかがですか? 主題は、元の旋律の印象からは違った感じがしますね。

天野:うん、和声進行としては宝塚というか劇伴(?)っぽい。見た目は和風、だけど中身は西洋音楽的みたいな感じ。

佐藤:ほんとだ、地元の人ではないと思いましたが、プロフィールみると宝塚のピアノ伴奏者を担当しています。

渡辺:S.D.は和太鼓、Clavesは拍子木のイメージ?  テクニック的には難しくありません。

佐藤:ゆっくりした部分は歌を大事にして欲しいです。民謡の表現も生かしたいですね。

天野:曲(唄)を知っていると感じがつかめるかもしれない。Andanteがとてもきれい。[B]からテーマ。[A]と[G]は同じメロディー。Eは少し形が違う。テーマは2つだけなのでわかりやすいね。

佐藤:3小節の導入、低音の主題が生きるようにしたいですね。Glock.は琴の感じ? 聴こえるかな?

渡辺:はい、ゆっくりというか、少し遅れて演奏したほうが聴こえるかもしれません。

佐藤:後に出る感じで?

渡辺:そうですね。冒頭Timp.はAのロール、Lサイズでやったほうがポコポコ言わなくて良い感じです。全体にfの演奏が多いですが、音量よりもアンサンブルや響き・音色を重視で。Xylo. Glockは、同じ動きの管楽器の人と練習をしましょう。Clavesの音色でかなりバンドのキャラクターが変わると思うので、色々とくらべてみてはいかがでしょうか。

佐藤:[A]からはpでも木管はしっかり歌いたいですね。少しルバートするぐらいでも良いと思います。音符一つでも長さや歌い方を考えて演奏したいです。

天野:楽譜上は民謡と少し違うリズムやアーティキュレーションかな。

佐藤:そうですね。スタッカートは音が独立しているととらえて、歌う感じが出せると良いです。12小節目からSax.に旋律が移った音色の変化を聴かせて。リズムより民謡の節や歌詞を生かして演奏したいですね。

天野:[B]以降ベースラインが全体的に高いので、薄っぺらなサウンドに聴こえないようにしたいね。

佐藤:はい、ここからはテンポ設定で印象がかなり違ってきます。落ち着いて演奏すると、わらべ歌風に聴こえるかな、逆に慌てると時代劇みたいな印象…アーティキュレーションもスタッカートやスラーのかかり方を拍の重心を意識して伴奏と合わせて歌うようにしたいです。ユニゾンが多いのでリズムが転ぶとアンサンブルの仕上がり具合が目立ちますね。

天野:そうだね。構成がシンプルな分、強弱のコントロールやバランスが重要。

渡辺:小太鼓のリズムは響き線があっても和太鼓のイメージです。

佐藤:楽譜の指示以上に、ダイナミクスの変化やバランス、音色のコントラストなど工夫して表現しないと全体に同じような色になってしまうかもしれません。奏者の個性が出るところ。

天野:うん、確かに。作曲者がどこを工夫しているかを読み取る必要があるね。

佐藤:同じような主題や対旋律でも、少しずつパターンや調性、楽器の組み合わせが変わりますね。旋律のフレーズのとらえ方も重要です。

天野:そう。各部分で印象が変わるように聴かせるのも、バンドの個性と指揮者の腕だね。

渡辺:打楽器も技術的には比較的易しいですが、管楽器とのアンサンブルや表現に合わせて演奏するようにしたいです。

佐藤:速い部分、アーティキュレーションの処理も長くするか跳ねるかなどで、ずいぶん印象が変わる。特に、[E]や[I]のTrp.の低い音は、レガートで。Sax.と一緒にニュアンスそろえたいですね。

天野:これは音域が…。丁寧に練習する必要あるね。

佐藤:はい、Trb.もレガートで吹かないと印象が違ってくるかな。上手く吹くのは技術が結構必要かもしれないです。対旋律も主題や伴奏の音の形とバランスを考えて。ここもレガートで歌うように吹きたいですね。曲を通して全体的に伴奏の八分音符のアクセントは短くなりすぎないように。響きも欲しい。

天野:器楽的になりすぎると和風な(?)スクリーンミュージック的に聴こえるかもしれない。

佐藤:[G]からのAndanteも良いですね。ここのアゴーギク、奏者のセンスが…。前半のように、歌を意識して演奏したいです、間が伸びても、急いでも不自然かもしれません。楽器の組み合わせ、セッティングで一緒に吹く楽器が近くにあれば良いですが、離れていてもアンサンブルや歌い方を合わせたいですね。

渡辺:後半のXylo.は、ロールの音が突出しすぎないように、歌うように演奏したいですね。

佐藤:後半は、調性や楽器の組み合わせ(オーケストレーション)で旋律の形が少しずつ変わっているけれど、その違いを出したいですね。

天野:[K]からのコーダはラインが見えにくいかな。

佐藤:Cl.とEuph.の伴奏が合わせにくい感じです。主題も最初が聴き取りにくいので、しっかり演奏したいですね。楽器が加わっていくのでcresc.揃えたいです。

天野:あーっ、Trb.グリッサンド…。(ポジション確認しながら)…。

佐藤:アクセントを吹きなおして演奏すると良いですね。最後も一拍の間、緊張感が大事です。

天野:そうだね。でも全体には、わかりやすく書かれているので、結構この曲は取り上げられるかな。


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