尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲のすべて

SHOBI 講師陣による課題曲講座

 

V. きみは林檎の樹を植える (谷地村 博人)

パート別ワンポイントアドバイス(コントラバス編/講師・小室昌広)

小室昌広この曲では、長く引き延ばす音が多く出てきます。それらの多くが、遠景から近景に近づき再び遠景に退くような音量の起伏を伴っています。
管楽器ではブレス・コントロールによってこのような音を処理していきます。コントラバスではそれを弓の使い方つまりボウイング・コントロールでおこなうわけです。
音をかなり長く伸ばすことになると、ひと弓の長さでは対応できません。管楽器では息が足りなくなるということです。さて、このようなときに皆さんの周りの管楽器はどうしているでしょうか?
カンニング・ブレスと言われる、瞬間に息を吸うことを行っています。コントラバスではこれが弓の方向転換となるわけです。
つまり管楽器で音の切れ間がわからないブレスのありかたを探ると、音が切れずに弓を返すテクニックに応用できるわけです。
実はリラックスして弓を返すときは意外と音は切れていません。むしろ音をつなげようと集中して、弓を瞬間的に方向転換しようとすると音の切れ目が聴こえます。これは返した直後の音が緊張のために大きくなるからです。
21小節からのE線解放弦の音の連続を弾くとき、果たして音はハッキリと分離して聴こえるでしょうか?
普通に弾いていると、弦の余韻もあるため音はつながって聴こえてしまいます。かといって強くアクセントをつけることは弱い音ではできませんし、短い音でも響きが強くなるだけでうまくいきません。
同じ音を分離して弾く場合には、次の音の直前にかなりの無音の時間を作る必要があります。このときには弓の動きを完全に止めて弓の毛で弦の振動を抑えることが必要です。
「同じ音はつながって聴こえやすい」ということは「音を切らずに弓を返すことにさほど神経を使うことはない」ということです。同音の反復と音の保持を関連づけて演奏に活かしていきましょう。
長い音の音量のピークは弓の両端ではなく、弓の中央で表現するとうまくいきます。

28小節から始まる16分音符のフレーズは、E線だけで弾けると良いでしょう。ダウンで始めて2個目のGの音からアップにすると、ffを弓の中央で迎えられて、後のGの連打をダウンで始められます。30小節のフレーズは時間を引き延ばしたものです。

練習記号[G]の低いE♭はE線を半音下げて演奏することもできます。68小節からの休みを利用してペグをひねります。ペグをどれくらいひねると半音下がるかを見ておくと、正確な音が出せます。

【小室昌広プロフィール】
1989年、東京芸術大学卒業。1992年同大学大学院音楽研究科修士課程修了。コントラバスを加藤正幸、永島義男の各氏に師事。L.シュトライヒャー、F.ポシュタ、F.ペトラッキの指導も受ける。作・編曲、指揮も手掛け、その作品は 東京交響楽団等で演奏されている。都内すべてのプロオーケストラでの経験をもち、東京ゾリスデンアンサンブル・オブ・トウキョウなどの室内楽団でも演奏する。草津、倉敷、宮崎などの各音楽祭に出演。東京芸術大学及び尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。