尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

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課題曲のすべて

I.「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲(林 大地)
<課題曲1>クラリネット編

パート別ワンポイントアドバイス(クラリネット編/講師・中村めぐみ)

中村めぐみ曲に取り組むと同時に奏法を整え、基礎を見直す時間を常にもつようにしてください。身体も楽器の一部と考えてアンブシュアや構え方が安定するように組み立て、タンギングのノイズがないか、一つの音の中で音程が動いたりしていないかなど、素材を磨くことは、成功の大きなポイントだと常に思います。

誰もが知るこの曲をドラマチックにした、とてもストーリー性の明確な曲です。ダイナミクスの変化が音量のみのものでなく、どんな感情なのかも想像させる温度や喋り方を意識すると、さらに生き生きとしたストーリーが見えてくると思います。

冒頭のセクションのハーモニーは、あくまでもFl.のソロの絨毯になるよう、音を膨らませないよう薄く重ねて、しかし、3rdの2小節目、3小節目の音は、本来この2度上の音なら単純なハーモニーになるところをあえて半音下げていることで、独特の色を出す鍵になっています。それを意識してうまくクラリネットセクション全体で束になるサウンドをつくってください。A.Cl.とB.Cl.のユニゾンが澄んでいることも大切です。

[A]の2小節前の2nd&3rdの、2拍目の立ち上がりは埋もれがちなので、音量はmpですが、クリアな発音を意識してください。

[A]からのテーマは、リズムが付点8分音符と16分音符のようにならないよう、レガートの息をつかい、8分休符を舌で音を止めて、息をバウンドさせないようにして喋りましょう。

[B]の3小節前のfpを、Sax.、Hrn.などの8分音符の動きに耳を傾けて明確に作り、クレッシェンドが早くかからないようにつくってみてください。また、[B]の2小節前の2拍目の立ち上がりもクリアに、その前のトリルからなだれこまないようきちんとトリルを一瞬止めてから発音してください。

[C]からのメロディは、[A]のメロディと使われている音符が違います。しかし、だからといって、重くならないよう4分音符もマルカートに作るべきだと思いますが、それでいて[A]とは違う少し丸いイメージに作れるとさらに良いと思います。[C]の9小節目アウフタクトのモチーフは、オブリガートで、それに対するメインのメロディがあまり厚くないので、mfといってもかなり軽く薄く作って、メインよりも前に出ないよう耳を使いましょう。

[D]1小節目2小節目の3rdの音の動きがとても重要です。2ndの音にどう添えるかを意識して、2ndの音を耳に入れた状態で吹きましょう。

[G]の3小節目4小節目の8分音符は、Cl.に限らず縮みがちです。16分音符16分休符16音符16分休符だと考えて、休符の部分を正確に喋ります。

[G]の5小節目のfpは、B.Cl.やBar.Sax.、Euph.の動きをマスクしてしまわないよう、クレッシェンドを後ろに作ってpの間B.Cl.などの動きを耳に入れて演奏してください。

[H]からのB.Cl.の伴奏は、サウンドにB.Cl.の音色の影響が大きいと思います。他の楽器とのユニゾンの音程ももちろん澄んでいるべきですが、暖かいB.Cl.の音色を活かしてください。
[H]の5小節目からの2nd&3rdの動きは、最初の16分休符も丁寧演奏するつもりで、そして動きの中に2拍目4拍目のビート感が見えるように、少しウエイトを置くつもりで拍子感を出して、それをメロディの流れに添わせて分離しないよう工夫しましょう。これを平らに作ってしまうと、仕上がりのドラマチックさを半減させてしまうと思います。

[J]の1小節前のハーモニーは、クレッシェンド&デクレッシェンドの幅を明確に作ると、Ob.のソロをマスクしてしまいます。Ob.のソロにはクレッシェンドなどの指示がないので、ソロの音形が持つ自然な起伏のみになるかと思うので、それを越してしまわないよう、全員でよくバランスを考え耳にソロを入れて吹きましょう。

[L]からのハーモニー、ここの色彩はOb.とCl.セクションのみでつくられているので、ハーモニーの美しさや、「束」感が重要です。特に、2nd&3rdのコンビネーションがうまく絡まっているかを常に意識しながら作ってください。[M]の3小節前の2ndの動きは、ここにしか存在しないので、かなり明確にクリアに発音すると効果的だと思います。

[N]の4小節目の16分音符は、突然の実音でA durのスケールが現れることがとても意外性のあるところです。一瞬の出来事ですが、その効果を出すために、特に記譜でa♯の音を際立たせると効果が出ると思います。

全体的にCl.セクションだけで色を決定する部分が多いので、セクションの纏まりが仕上がりを左右すると思います。
発音そのものも美しく、そしてCl.にしか出せない色をみんなで作りましょう。

頑張ってくださいね。

【中村めぐみプロフィール】
東京藝術大学器楽科卒業。第八回ヤマハ新人演奏会、同大学同声会新人演奏会出演。シエナ・ウインド・オーケストラ入団。ほか、オーケストラ、ミュージカルオーケストラ、室内楽、ソリスト、スタジオワークなどで、活動を続ける。東京クラリネットアンサンブル、東京クラリネットフィルハーモニー、シエナ・クラッツのメンバーとしてライブ、CDレコーディングに参加。シエナの公演、CDで多数コンサートマスターを務める。

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