尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

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課題曲のすべて

III.行進曲「春」(福島 弘和)
<課題曲3>クラリネット編

パート別ワンポイントアドバイス(クラリネット編/講師・中村めぐみ)

中村めぐみ曲に取り組むと同時に奏法を整え、基礎を見直す時間を常にもつようにしてください。身体も楽器の一部と考えてアンブシュアや構え方が安定するように組み立て、タンギングのノイズがないか、一つの音の中で音程が動いたりしていないかなど、素材を磨くことは、成功の大きなポイントだと常に思います。

シンプルな各モチーフが発音、イントネーションなどが上質であり、それを組み立て1つの建築物を作るようなイメージでアンサンブルをする必要がある曲です。合奏に臨む前に、上に書いた素材のチェックや、自分の持つリズムが偏ったりしていないか、テンポそのものを演奏で表現できているかなどを、一人一人が準備すれば、どんどん曲の仕上がりのレベルが上がるはずです。

まずは、曲を通して現れる付点のリズムです。
きちんと4分割されて、言葉で示すと「たぁんた」というスペースが作れているかどうかを吟味してください。近年、ハーモニーディレクターの影響か、リズムを平らに、「たあーた」のように喋ってしまう傾向がみられて、残念に思うことが時折あります。それをやってしまうと、この曲の良さは半減どころか全壊してしまうのではと考えます。

また、Cl.セクションは大変ユニゾンが多いので、まずはセクションの中で分離せず、一体感のあるサウンドとリズムの喋り方を追求するととても効果的だと思います。

[A]からのメロディなど、ずっと同じテンションにならないよう、最初の4小節と次の4小節が会話の受け答えのようになると素敵だと思います。
少し難しいことかもしれませんが、曲を通じて常に、平らにならないよう、音の上下により自然に感じられる音の濃さの変化や、どこに向かってメロディが進行しているのかなどを息で表現することを目指してください。

[C]からのB.Cl.のモチーフは、対旋律となっていて重要なものです。Bar.Sax.、Tuba、St.B.などと喋り方を一体化させ、Trb.のメロディに応えるように演奏してください。

その役割を[E]からは、E♭ Cl.、Cl.、A.Cl.、高音木管が担います。常にメロディと音楽が分離してしまわないよう、耳を使います。

[G]の2小節前のリズムは転びがちです。滑ってしまわないよう、また、前打音のようにならないよう、正確に裏拍のタイミングを作ってください。

[G]からは、セクションの一体感に、Sax.も加わります。お互いがブレンドを意識して、分離しないように耳を使いましょう。
また、ダイナミクスの変化の指示は少ないですが、8小節単位のメロディが4かたまりあり、それが長い文章になっています。1かたまり目と3かたまり目の温度と、メロディの最後の部分の変化を、音楽の温度の変化と捉えて、最後の4かたまり目に到達感が出るよう、イメージしてみてください。決して平らに、ただ静かなだけの音楽にならないよう、一人一人の想像力と創造力が問われる箇所だと思います。ここを丁寧につくると、その後の[K]からのtuttiの生命力が更に充実するはずです。
また、つけられているアーティキュレーションが曖昧に、全てスラーのようになってしまわないよう、正確に舌をついてください。

[I]の5小節目からの細かな音の動きがテンションをあげていき、ドミナントから[K]のトニックへ発展しながら音楽が進み、[K]の到達感につながることを想像しながら吹いてみましょう。mpはこれから起こることへの期待感のmpだと感じます。

シンプルな曲だからこそ、どう料理するかのセンスを問われます。そして、くりかえしますが、一人一人ができることは、美しい発音の色をキープすることや、多く倍音を含んだブレンドしやすい音色を作ること、スマートに自然にリズムを喋り、一人一人のモチーフの中にもテンポ感を含むことなど、だと考えます。

頑張ってくださいね。

【中村めぐみプロフィール】
東京藝術大学器楽科卒業。第八回ヤマハ新人演奏会、同大学同声会新人演奏会出演。シエナ・ウインド・オーケストラ入団。ほか、オーケストラ、ミュージカルオーケストラ、室内楽、ソリスト、スタジオワークなどで、活動を続ける。東京クラリネットアンサンブル、東京クラリネットフィルハーモニー、シエナ・クラッツのメンバーとしてライブ、CDレコーディングに参加。シエナの公演、CDで多数コンサートマスターを務める。

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