尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科
管弦打楽器学科[2年制]
音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コース[4年制]

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渡部 哲哉氏 (中部航空音楽隊)

航空自衛隊中部航空音楽隊Sax.奏者、渡部哲哉さんに訊く。

簡単に生い立ちなど教えていただけますか?

東京都田無市(西東京市)生まれ。埼玉県内の学校を卒業後、東京コンセルヴァトアール尚美吹奏楽専攻へ入学。在学中には、鈴木孝佳(TAD鈴木)氏を共にTMEAに参加したのをはじめ、尚美ウィンド・オーケストラのインスペクターを務めたり、各種演奏会やレコーディング(東芝EMI、カーナウ出版等)に多く参加しました。卒業後は、航空自衛隊に入隊、現在所属している中部航空音楽隊に配属となり、サックス奏者として勤務しています。

―― サックスを始めたきっかけを教えていただけますか?

実は中学校ではトロンボーンを吹いていました。高校でも続けたかったんですが、高校の部活へ体験入部に行った際、トロンボーンの先輩がパート練習中に机上に座って足を組んで吹いている姿を見て、「この人の下で演奏したら凄く怒られそう」と思ったので、トロンボーンを諦めたのがきっかけです。その後、楽器を決める際には色々とあったんですが、最終的にはサックスに落ち着いた訳です。

―― 現在使っている楽器のメーカーやリガチャーを教えてください。

私物では現在アルトとソプラノを持っています。

<アルト>
・メーカー : ビュッフェ・クランポン(プレステージ・シルバー)
・リガチャー : BG(ラバータイプ)
・リード : グロタン(セレクト3S)
・マウスピース : ヴァンドレンA27

「楽器は、フランスのサックス奏者「モレッティー」氏の選定で、日本に入ってきた第1号機を譲って頂きました。なかなかの貴重品です。」

<ソプラノ>
・メーカー : ヤナギサワ
・リガチャー : ハリソン(ゴールドメッキ)
・リード : ヴァンドレン3.1/2
・マウスピース : ヤナギサワ純正品

「この楽器は、ヤナギサワに勤務していた高校の後輩に頼んで、組み立てて貰いました。ホントはシルバーソニックが欲しかったんですが、お金がなかったので、シルバーソニックの様に管体だけシルバーメッキをかけて貰いました。また尚美の先輩に頼んで、楽器に鳳凰の彫刻を彫って貰いました。1品ものです。」

―― 尚美在学中の思い出などを教えていただけますか?

尚美の仲間と。(左から、小生・原博巳氏・makijyo(musicstore.jp))最大の思い出は、やっぱり2年在学中に行ったアメリカTMEAに参加できたことですね。僕にとっても初めての海外だったので、余計にそう思っているのかも知れません。ですがそれだけでなく、演奏もホント良かったと思うし、演奏し終わったあとのお客さんの反応も最高だった(スタンディングオベーション)し、ホント最高でした。約10日間(だったと思う)で4つ本番をやりましたが、その中でも最大のイベントTMEAコンベンションでの演奏は、会場も広く圧倒されました。本場のマクドナルドも初体験しましたよ。(笑)
研究科(3年)に上がってからは、近藤久敦先生や佐藤正人先生、仲田守先生のアレンジ譜の校正作業やパート譜書きなどをやらせて頂きました。そこで得られた知識やノウハウ、経験は今でも生きていると思います。あとは、先生方と一緒に飲みに行ったり、麻雀やったり... 。(笑)

―― サクソフォーンの演奏以外にアレンジも多く手がけていらっしゃいますが、アレンジはいつ頃からされるようになったのですか?

初めてアレンジをしたのは、小学校1年生の時です。エレクトーン教室に通っていた時に、先生に言われてやったのが最初です。吹奏楽のアレンジは、高校2年生の時が最初になります。

―― 随分早くからされていたんですね。現在は中部航空音楽隊の専属アレンジャーという感じなのでしょうか?

専属アレンジャーという訳ではありません。あくまでも本業はサックス奏者。デスクワークとして「作編曲」が与えられている形ですね。

―― 最近は作曲家としても活躍されていますね!

そうですね。ありがとうございます。作曲に関しては、以前から興味はあったんです。ですがなかなか取り組む時間がなかったのと自信がなかった事もあって、なかなか重い腰を上げる事は出来ませんでした。でもある時に「毎年課題曲に応募しよう」と思い立ち、ようやく完成出来たのが【ジョイフル・ポケット】です。この曲は思いのほか出世(2002年JBA下谷賞受賞)してくれたので、面白くなっちゃったんです。それ以来、毎年1曲は作曲しようと決めて現在に至っています。

―― なるほど。ところで中部航空音楽隊に入隊したきっかけは...?

親戚に自衛隊音楽隊で勤務した経験があった人がいたのが大きな理由です。その人からいろんな話を聞くうちに、吹奏楽を職業に出来たらいいなぁ~という気持ちが大きくなって、思い切って受験した訳です。試験に落ちたら、楽譜の浄書や作編曲・バンドディレクターとしてやっていこうと決めていました。自衛隊音楽隊であれば正直どこでも良かったんですが、募集担当官の方から「受けるなら1つに絞った方がいい」と言われたので、「それだったら尚美の先輩も入隊していた航空自衛隊にしよう」と思い、航空自衛隊のみ受験しました。
中部航空音楽隊への配属は特に希望した訳ではありませんでしたが、現在となっては「音楽の町浜松」で勤務出来ている事を嬉しく思っています。(関東にも関西にも北陸にも直ぐ行けますしね。・笑)

―― その中部航空音楽隊ですが、普段はどのような活動をしているのですか?

北は山形県・宮城県から、西は兵庫県までの1都2府23県を活動範囲としています。音楽隊の任務としては、「式典演奏」「隊員の士気振作」「自衛隊の広報演奏」の3つがあります。コンサートホールや市民会館等での演奏会はもちろん、炎天下や極寒の屋外での演奏も多々あります。また、秋の競馬G1レース「天皇賞」や、大相撲五月場所、鈴鹿F-1日本グランプリなどへも演奏で出かけました。

―― 最近は邦人作曲家にたくさん委嘱もされていますね。

「てつやん会」終了後の記念撮影そうですね。2002年にJBA下谷賞を受賞した事がきっかけで、個人的に色々な先生方や作曲家の皆さんと交流を持つ様になりました。最初はインターネット上やメール上だけのお付き合いだったのが、ある時に僕が主催した「てつやん会」というオフ会・親睦会を開催して、直接いろんな方と会ってお話しをした時に、いろんなアイデアや企画などの話が出たんです。そこで、「いつかはこの場から委嘱が出来たり、出版、録音がされる様になったらいいよねぇ~」なんて話をしていたんです。 そんな時職場で、音楽隊の予算で何か独自な事が出来ないかという話があった時に「作曲家に委嘱をしてはどうだろうか」と意見を挙げたのが委嘱を始めたきっかけなんです。
現在までに伊藤康英氏、杉本幸一氏、八木澤教司氏、坂井貴祐氏、清水大輔氏、高橋伸哉氏、福島弘和氏、高橋宏樹氏、福田洋介氏に委嘱をし、約20曲が弊隊から全国へ発信し、その作品の殆どが国内のみならず、海外から出版されるなどして、いろんなバンドで演奏されています。

―― 今後の委嘱作品も楽しみですね!ところで一度のコンサートのリハーサルにはどれくらい時間をかけるのですか?

そのコンサートの規模にもよりますが、平均1~2週間と言ったところでしょうか。時には1日だけと言う時もあります。

―― 練習以外に、いわゆる「自衛隊の訓練」というのもあるのでしょうか?

もちろん時にはあります。体力測定や射撃も毎年やりますよ。その他、僕らの基本は「自衛官」ですので、ジョギングや筋力トレーニングなどをして日々体力の維持向上するための努力をしています。

―― 自衛官には1曹・2曹・3曹... などいろいろな階級がありますが、その違いは...?

違いは一言では言えませんが、上の階級になるほどやる仕事内容(特にデスクワーク)が、より責任ある事を任される事が多くなってくると思います。民間企業で言えば、見習い・チーフ・係長・課長といった所でしょうか。演奏する面では、階級は関係ないと個人的には思っています。
僕らはいい演奏を聴衆に披露する必要があるので、時には階級は考えずにみんなで意見を出し合っていい音楽を作り上げていかないと、絶対上手くいかないと思うんですよ。もちろん言葉遣いなどは、一般常識の範囲ですけどね。(笑)

―― この記事を読んで音楽隊に興味を持った方もいると思うのですが、音楽隊に入るためにはどういう手続きをすればよいのですか?

災害派遣演奏風景まずは最寄りの自衛隊地方連絡部に連絡をして下さい。そこの募集担当官が入隊試験などについて色々と教えてくれるはずです。音楽隊に入隊するには、自衛隊の入隊試験(学科・面接・身体測定)の他、実技オーディションがあります。入隊試験は必ず合格しないと自衛隊そのものに入れませんので、注意して下さい。また、毎年全部の楽器が募集される訳ではありませんので、その点もご理解して下さい。詳しくは、最寄りの音楽隊までお問い合わせ下さい。
オーディションは陸海空でやり方が違うと思いますが、各楽器課題曲が指定されていたり、自由曲で良かったりします。オーディションにも入隊試験にも合格すると、高い確率で音楽隊で勤務が出来るのではないかと思います。(僕はそうでした)

―― ありがとうございます。それでは今後の予定等を教えてください。

近いところでは3月2日に第29回定期演奏会が、アクトシティ浜松大ホールで開催されます。この演奏会では、福田洋介氏へ委嘱した作品【シンフォニック・ダンス】が初演されます。またこの演奏会の為に書き下ろした僕のアレンジも何曲か披露されます。僕のサックス奏者として、作編曲者としての両方の姿が見られる場ですよ。(笑) また4月初旬に行われる全国高等学校選抜吹奏楽大会に、弊隊がゲスト出演する事が決まりました。

―― 今後も目が離せないですね!それでは最後にサイトを見ている皆さんにメッセージをお願いします。

夢は必ず持ち続けて下さい。そして決して諦めないで下さい。また時には将来の自分をイメージしてみて下さい。そして、そのイメージに少しでも近づける様、努力をして下さい。
「若い時の苦労は買ってでもしろ」という言葉があります。僕も学生時代は睡眠時間を削ってでも楽譜浄書やパート譜書きなどをやったものです。(例えそれが夜中までかかったとしても次の日は普通に学校行きましたよ。・笑)
学生時は修行の場だと思って、自分に鞭を打って頑張って下さい。努力は必ず報われますよ。

―― ありがとうございました!

【渡部哲哉 プロフィール】
1973年、東京都田無市(現、西東京市)生まれ。1996年、東京コンセルヴァトアール尚美吹奏楽専攻(現在、尚美ミュージックカレッジ専門学校)を首席で卒業。専攻優秀賞、総合優秀賞を受賞。卒業演奏会に出演。同年、航空自衛隊に入隊。中部航空音楽隊(浜松)に配属となる。
1997年、日本吹奏楽学会主催「管楽合奏のための作・編曲コンテスト」にて、佳作及び審査員特別賞を受賞。2002年、「ジョイフル・ポケット」が日本吹奏楽指導者協会(JBA)「下谷賞 優秀賞」(最高賞)を受賞。同年、防衛庁より第3級防衛功労賞を授与される。2003年、「古都の彩」が日本吹奏楽指導者協会(JBA)「下谷賞 佳作」を受賞。2004年、作曲集団「風の会」のメンバーとなる。同年、自由演奏会作曲コンクールにて「風の音に乗って」が「最優秀賞」(第1位)を受賞。
吹奏楽の作品は編曲を中心に250曲を越え、ビムス・エディションズ、ブロード出版、ユニバース、CAFUAレコード、イースター音楽出版、ウィンドアート出版、音楽工房「ティ・メディア」より出版及びレンタルされている。 これまでにSaxを小串俊寿氏に師事。>

(2006年2月掲載)

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