
(写真左から)中島 梨香さん|名取 大稀さん|柴田 つぐみさん
2025.06.17
SHOBI
(写真左から)中島 梨香さん|名取 大稀さん|柴田 つぐみさん
プロフィール
株式会社東京舞台照明勤務
柴田 つぐみ(シバタ ツグミ)さん|埼玉県立伊奈学園総合高等学校|音響・映像・照明学科(照明専攻)2011年度卒業
中島 梨香(ナカジマ リカ)さん|埼玉県立入間向陽高等学校出身|音響・映像・照明学科(照明専攻)2011年度卒業
名取 大稀(ナトリ ダイキ)さん|東京都・東亜学園高等学校出身|音響・映像・照明学科(照明専攻)2023年度卒業
―現在のお仕事の内容についてお聞かせください。
柴田さん※以下、柴田 コンサートの照明プランを考えるところから、図面の作成、プログラミング、本番のオペレートまでを担当しています。東京だけではなく、ツアーでは全国を回っています。
中島さん※以下、中島私は図面をもとに照明機材の仕込みをしたり、本番ではオペレータとして照明を操作しています。公演では、仕込み(機材の設営)から本番、バラし(機材の撤去)まで関わります。最近は女性アイドルグループのライブを担当することが多いです。
名取さん※以下、名取入社2年目なので、主にピンスポット(以下、ピン)の操作やキュー出しを任されています。地方のホールツアーでは3人チームで回ることもあり、場合によってはセンターチーフの役割を任されることもあります。
―お仕事をする上での「やりがいを感じたエピソード」について教えてください。
柴田本番直前までは慌ただしいですが、終演後にお客様の拍手や楽しそうな表情を見ると、それまでの大変さが一気に吹き飛びます。「いい現場だったな」と思える瞬間が、何よりのやりがいです。
中島自分が関わったライブが映像化されて、エンドロールに名前が載った時は本当に嬉しかったです。「やってきて良かった」と実感できた瞬間でした。
名取知人が観客として来ていた現場で、自分がピンを当てていたアーティストに歓声が上がっているのを見たとき、自分の仕事がその空間を作っているんだと強く感じて、誇らしく思いました。
―お仕事をする上での「大変だったエピソード」について教えてください。
柴田照明プランの作成やプログラミングは時間との戦いです。特に大規模会場では、長時間で働くこともあり、体力的にも厳しいです。
中島
以前担当したセンターステージが回転するような構造の会場で、ピンの指示が複雑になって大変でした。誰がどこにいるのか常に把握しながら動く必要があり、すごく神経を使いました。
名取2年目に入り、責任も増えてきたことで、プレッシャーを感じる場面が増えました。少人数で現場を回すことも多く、現場によっては自分で判断しなければならないこともあります。
―このお仕事を目指したきっかけについて教えてください。
柴田高校の吹奏楽部で定期演奏会をやったときに、プロの照明が入っていて「かっこいいな」と思ったのが最初のきっかけです。専門学校に入ってからも、照明の授業が一番楽しかったですね。
中島母に連れられて、小さい頃からライブに通っていました。舞台の後ろで動いているスタッフに憧れを持っていて、照明の授業を受けたときに「これだ」と思いました。
名取自分が好きなアーティストが出ていたテレビ番組で「東京舞台照明」という名前を見かけて、調べていくうちに自分もそこで働きたいと思うようになりました。それが、ずっと目標でした。
―お仕事をする中で、普段から心がけていることをお聞かせください。
柴田現場では人との関わりが多いので、まずはしっかり挨拶することを大切にしています。基本的なことですが、信頼関係を築くためには欠かせません。
中島現場前日はできるだけ早く帰って、体調を整えるようにしています。疲れたまま現場に入ると集中できないので、コンディション管理は重要です。
名取どんなときでも元気に動くことを意識しています。自分が明るくいることで、周りの空気も良くなると思っています。
―この仕事に必要な心構えを教えてください。
柴田やる気と根気があれば大丈夫です。現場で経験を積みながら成長できると思います。
中島照明の仕事は高所作業や重い機材を扱うこともあるので常に安全への意識を持つことと、それと、平均点で満足せずに常にブラッシュアップする姿勢が大切です。
名取特に男性は力仕事が多くなることもあるので、体力と筋力は備えておいた方がいいと思います。それに加えて、柔軟な対応力も求められます。
―将来の目標について教えてください。
柴田プランナーとしてさらにレベルアップし、アーティストの魅力を引き出せるような照明演出をしていきたいです。
中島後輩たちから頼られるような、しっかりとした先輩になれるよう努力したいです。技術だけでなく、周囲との信頼関係も大事にしていきたいですね。
名取自分で照明を操作して、会場の雰囲気をガラッと変えるような演出ができるオペレータになりたいです。
―就職活動の進め方はどうでしたか?
柴田2年生の春には動き始めて、3社ほど受けました。中島さんと一緒に「東京舞台照明」ともう1社に合格し、最終的に今の会社に決めました。学校の説明会や先生からのアドバイスも大きかったです。
中島就職活動中は震災の影響で採用人数も少なく、正直かなり厳しい状況でした。それでも「やってみよう」と思って挑戦したことが結果につながったと思います。どんな状況でも諦めないことが大切だと感じました。
名取就職活動をスタートしたのが少し遅くて出遅れてしまいましたが、希望していた会社に絞って集中して進めました。キャリアセンターや先生方に面接練習などで助けていただきながら、なんとか乗り切ることができました。キャリアセンターで閲覧した先輩方の「内定報告書」もかなり参考にしました。
―在学中にやっておいてよかった活動はありますか?
柴田・中島学校のイベントの現場スタッフとして参加したことが大きかったです。実際の現場を知ることで、授業では得られない感覚や動き方を身につけることができました。
名取先生に紹介していただいた学校外の現場に参加したことで、リアルな仕事の雰囲気を知ることができました。そこでの経験はとても貴重だったと感じています。
―現在就活中の後輩に向けて、メッセージ・アドバイスをお願いいたします。
柴田学生のうちにしかできないことがたくさんあると思うので、今の時間を大切にして、いろんな経験をしておいてください。その経験が仕事にもきっとつながります。
中島自分に自信がなくても、まずは一歩踏み出してみてください。面接では相手の目を見て自分の言葉でしっかり伝えようとする姿勢が何より大事です。
名取「好き」という気持ちを信じて、目標に向かって取り組んでください。その想いがあれば、きっと道は開けると思います。
(取材日:2025年5月)
※卒業学科は卒業当時の名称です。