楽器別ワンポイントアドバイス – トロンボーン編

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2026.09.11

トロンボーン奏者の長谷川貴大です。
現在、シエナ・ウインド・オーケストラの楽団員としての演奏活動を中心に、尚美ミュージックカレッジ専門学校では非常勤講師としてトロンボーンの個人レッスンを担当しています。

今回はワンポイントアドバイスということで、尚美ミュージックカレッジ専門学校に興味のある方や、トロンボーンが上手くなりたいと思っている方に向けて、僕が日々行っている練習や感じていることをご紹介します。
文字だけでどこまで伝わるか分かりませんが、少しでも上達の手助けになれば嬉しいです。

音のイメージを持とう

まず、トロンボーンを演奏するにあたって、自分が奏でたい音のイメージを持っていますか?
どれだけたくさん練習していても、音のイメージが弱いと上達には時間がかかる印象があります。逆に、明確なイメージを持てると、その場で大きく変化することもあります。それほど、音のイメージを持つことは大切です。

では、ここで質問です。
あなたの好きなトロンボーンの音はどんな音でしょうか?

「良い音」「柔らかい音」「キラキラした音」など、さまざまな言葉で表現できると思います。
では、その「〇〇な音」を誰かに言葉で伝えたとき、相手は同じ音をイメージできるでしょうか?

……残念ながら、言葉だけでは完全には伝わりません。

では、どうすればよいのでしょうか。
それは、「自分の耳で実際に聴いたトロンボーンの音」が具体的な音のイメージに繋がります。

これまでにどんなトロンボーンの音を聴いたことがありますか?
友人や先輩、配信音源、コンサートなど、さまざまだと思います。

まずは、たくさんの演奏を聴いてみてください。
その中から「憧れの音」を見つけましょう。

僕自身、小学生の頃に入ったジュニアオーケストラがきっかけでトロンボーンの音に興味を持ちました。高校生の先輩の温かい音に強く憧れたことを今でも憶えています。その先輩とデュオしてもらったのは大切な思い出です。

その後、中学生の頃、偶然聴いたミュンヘントロンボーン四重奏のCDにも衝撃を受けました。当時は「本当にトロンボーンの音なのか?」と思うほどでしたが、何度も繰り返し聴きました。

地元にクリスチャン・リンドバーグが来た時はもう大騒ぎして聴きに行きました。

こうした経験が、僕の音のイメージを作っていったのだと思います。

少し長くなりましたが、ここが最も大切なポイントです。
ぜひ多くの演奏に触れ、好きな音憧れの音を見つけてください。
気づいたときには、自然と上達しているはずです。

ウォームアップ

ウォームアップはしていますか?
プロでも時間をかける人・短い人がいます。自分に合った方法を見つけていきましょう。

僕はウォームアップに時間をかけたいタイプです。
単なる準備運動としてだけでなく、「音作り」の時間として考えています。

僕がしているウォームアップをいくつか紹介します。

ブレスエクササイズ

まず、足を肩幅に開いて、膝はピンと伸ばさず、軽く力を抜いて立ちます。
テンポは♩=60前後くらい、正確さは気にしません。ゆったりとカウントしましょう。

①4拍吸って、4拍吐く × 2回

大切なのは、無理に吸おうとせず楽に4拍吸い続け、吐き続けることです。肺を息で無理にいっぱいにしようとはしません。ダイナミクスをつけるとしたら、pやmpくらいです。

続けて、

②6拍吸って、6拍吐く × 2回

この時も、4拍のときと同じくらいの息を2拍長くする、くらいのつもりで。

次は、

③8拍 ④10拍 ⑤12拍のように少しずつ長くしていきます。

大切なのは、息を楽に、長く使うことです。無理に吸おうとせずに、楽に息を使うことを意識しましょう。呼吸そのものがストレッチのように感じられる状態が理想です。

そして、最後に ⑥4拍吸って、4拍吐く

はじめに行った①よりも、楽に息の出し入れができると思いませんか?

マウスピースバズィング

× 振動 =

息を使う身体の準備ができたら、次はバズィングです。音が最初に生まれるところです。時間をかけて丁寧に行いましょう。息を使い、唇や口の周りを起こすつもりで。

バズィングは、息が身体の内側から唇の外に向かって流れる時にできる上下唇の穴(アパチュア)を通り、息が通るアパチュアの辺りが振動して初めて音になります。大切なのは、息が流れているからこそ唇が振動し、音が生まれるという事です。息を使わずに振動を起こすことはできません。

ですので、まずは息の流れを最優先に考えましょう。息を通すということを第一に実践した上で、唇を楽にバズィングをしてみましょう。

肝心のウォームアップですが、僕は主に2つのことをしています。

  1. 息と振動を意識したバズィング
  2. 音階〔譜例1〕

1.ですが、僕は真ん中のFくらいの音をイメージしてロングトーンしています。ここでは音程よりも、吐いた息が自然とバズィングの音になることを大切にします。ここではタンギングをしないで、息だけですることが多いです。
声で例えると叫ぶような声ではなく、響きのある歌声をイメージしましょう。

2.の音階は、自身の頭の中にある音程や響きを実際の音として鳴らすことを大事にします。
合唱部がする発声練習をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

また、注意点としては必ずグリッサンドで行うこと。グリッサンドしているときの無数に存在する音程を全て奏でるつもりでしましょう。
それから、ピアノ等の音と一緒に練習しましょう。

ロングトーン

さあ、マウスピースを楽器に付けましょう。
ロングトーンする上で気をつけていることは、バズィングの時と似ており、吐いた息が自然に音になることを意識します。頭の中のイメージと実際の音を一致させることが大切です。

なので、それさえ心がけていれば、パターンはどんなものでも良いと思っていますが、お勧めなのは、グリッサンドをしながらするロングトーンです。

リップスラー

金管楽器の人は必ず練習しましょう。非常に重要な基礎練習です。
息をしっかり使い、音色を保ったまま滑らかに音をつなげましょう。

まずは、音2つで。やりやすい音で練習しましょう。

最初は、それぞれの音をたっぷりの息、良い音でロングトーンします。(A)
次は、休符を入れずに。タンギングはします。(B)
その後、リップスラーで練習します。(C)

この練習で重要なことは、たっぷりと息を使い、音色にフォーカスすることです。それから、後のB、Cのパターンの時は音が変わっても一本の息で演奏していることを意識して練習しましょう。
ロングトーンした良い音を、伸ばした音の最後の最後、なくなる瞬間まで吹き続けるようにしましょう。

この練習に慣れてくる頃には、2つの音でするリップスラーが、音楽的なリップスラーになっているかもしれません。逆パターンも練習しましょう。

タンギング

パターンは、〔譜例4〕を使ってみましょう。
みなさん、まずは声だけで、タンギングするときに使う発音の「タ」や「ダ」、「ト」や「ド」でやってしましょう。テンポは♩ = 70〜90くらいでしょうか。

次は、同じ〔譜例4〕を、息(声)を出さずに舌だけを動かしてやってみましょう。どうですか?非常に動かし辛いですね。力も入ってしまいます。そもそも、タンギングができません。
息の流れに乗せることが最も大切だということがわかると思います。
舌だけを動かそうとせず、常に息の流れを意識してください。

今度は、トロンボーンで〔譜例4〕を練習してみましょう。
上手くできるためのヒントは、息を最後まで流し続けましょう。ロングトーンしているように。
〔譜例4〕の音符の下にある図は息の流れを表しています。

スケール

音階です。トロンボーンに関わらず、音楽をする上でとても大切です。
素敵なメロディを持つ曲が様々ありますが、スケールは「最もシンプルなメロディ」だと僕は思っています。

ですので、音階練習をするときはただ音を並べるのではなく、音楽的に演奏する意識を持ちましょう。


いかがでしたか?
それぞれの練習で大切にしていることをご紹介しました。
これからもトロンボーンを通して、一緒に音楽を学んでいきましょう。

文字だけでは伝えきれない部分もありますが、少しでもヒントになれば嬉しいです。


長谷川 貴大

管弦打楽器学科 講師

Profile

日本大学芸術学部卒業、尚美ミュージックカレッジ専門学校コンセルヴァトアール ディプロマ科を修了。Pacific Music Festival 2012、若い人のための「サイトウキネン室内楽勉強会」2012に参加、香港にてSlider Asia Trombone Festival 2014に出演。トロンボーンを花坂義孝、古賀慎治、山下浩生、箱山芳樹の各先生方に師事。テジョン市立交響楽団首席(韓国)を経て、現在シエナ・ウインド・オーケストラ楽団員。