
ウォーミングアップと基礎練習
皆さんは毎日のウォーミングアップや基礎練習はどのように行っていますか?
ウォーミングアップの目的は、普段の実力を発揮できる状態に持っていくことです。そのための方法は人それぞれで違っていてもいいですし、自分に合っているやり方があるので、様々な方法を試しながら一番いいものを見つけていきましょう。
基礎練習は、自分が苦手とする事や難しいと思うものに敢えて取り組んで、技術の向上につなげていきましょう。
ロングトーンやスラー、タンギング、リップスラーなど様々なものを組み合わせて行なっていると思いますが、参考までに私がウォーミングアップや基礎練習でいつも行っているものを紹介します。
譜例1 [A]
mfでもmpでも自分が心地よいと感じるくらいの音量で、息と音のバランスを整えながらゆっくり長い音を出す、4小節間で一息を使い切るくらいのつもりで、半音ずつ下げて記譜のドまでいきます。
譜例1 [B]
ソから半音づつ上げてドまでいきます。
譜例1 [C]
クレッシェンド、ディミニュエンドをゆっくりつけて息の通りをスムーズにさせる、半音づつ上げていきます。
譜例1 [D]
速くなってもピストンを押す時と離す時を意識しながらスラーを息で支えるようにします。
譜例1 [E]
発展型、楽に吹ける音域まで上げていきましょう。
譜例1 [F]
リップスラーを混ぜた動き。アクセントはタンギングではせず、息で押します。
譜例1 [G]
リップスラーは、口を意識していると思いますが、口の中(喉も含めた)の動きも連動させるとよりスムーズに行くことが多いようです。タンギングの時に動きをよく観察して、リップスラーにつなげます。
譜例1 [H]
リップスラーと、アーティキュレーションを変えてみましょう。
譜例1 [I]
タンギングでは、息を送り続けることも忘れないようにします。息の流れに舌の動きを乗せる感じで。譜例のように軽くクレッシェンドをつけてみましょう。
譜例1 [J]
いろんなアーティキュレーションを組み合わせてみましょう。
基礎練習とウォーミングアップは連続して行なうと思いますが、自分の中で区切りをつけておくのも良いと思います。譜例1のような音型を、音域を広げたりアーティキュレーションを変えたり強弱つけたりしながら難易度を高めて基礎練習に取り入れてください。
現在多くの教則本が出版されています。演奏上必要とされる様々なテクニックが幅広く網羅されたアーバン教本、H.クラークのテクニカルスタディズはフィンガリングとブレスコントロール、リップスラーに特化したチャールズ・コリンの教本などがありますが、それらを日常のトレーニングに用いることもおすすめします。
リズムと音程
演奏する上で大事な要素である「リズム」と「音程」について確認していきましょう。
リズムの正確さを身につけるためにメトロノームを用いて練習することは日常になっていると思いますが、その目指すところは、メトロノームなしでも正しいテンポとリズムで演奏できるようにすることです。「自分が持っているテンポ感を正しく育てる」という意識を持って取り組むとより効果的でしょう。正確なテンポを刻みながら、正しいリズムで演奏することが曲の完成度を上げるためには求められます。合奏においてトランペットは金管楽器の中でもメロディ部分を担当することが多いですが、その場合でも同時に他の楽器が刻むリズムを感じながら演奏できれば、合奏のクオリティを上げることも期待できます。
演奏におけるもう一つの大切な「音程」は、チューナーを用いてのピッチ合わせのトレーニングになると思います。ここで注意したいところは「ピッチを合わせるための音」になってしまわないように、ピッチ合わせを優先するあまり、音質を犠牲にしてしまうことのないように、ということを意識しながら行いましょう。
合奏曲中に必ずと言ってよいほど出てくるハーモニー、譜例2の[A]、[B]、[C]で記されたような、5度の音程、4度の音程、オクターブなどのシンプルなものから始めて、音程合わせの練習をしてみてください。
譜例2の[D] では動きがある和音、テンポはゆっくりで。
譜例2の[E] 強弱の表現など様々な条件下でのハーモニー作り、他の調でも試してください。
相手の音をお互い注意深く聴き合いますが、その際には、合わせようとするあまり消極的な音にならないように、音が合わなくてもしっかり鳴らしましょう。音程があった時にはさらに豊かな響きになると思います。自分と相手との音が混ざりその結果できる音、お互いの音を聴き合い響かせ合うことによって生じる響き、その面白さを味わいながら豊かなサウンドを作る感覚を養ってください。
簡単ですが今までの経験に基づいたアドバイスになります。皆さんの日常の練習や演奏活動のスキルアップの一助になれば幸いです。

杉木 淳一朗
管弦打楽器学科 講師
Profile
東京芸術大学音楽学部卒業、同大学院修了。1993年〜96年新星日本交響楽団(現東京フィルハーモニー交響楽団)に所属。1996年よりフランス政府給費留学生として渡仏、パリ国立高等音楽院に入学。1999年、同音楽院にてプルミエ・プリ(mention tres bien)を取得し卒業。第10回日本管打楽器コンクールトランペット部門3位受賞。トランペットを故 ピェール・ティボー、クレモン・ガレック、北村源三、故 関根剛二、杉木峯夫、諸氏に師事。2004年より新日本フィルハーモニー交響楽団に所属。昭和音楽大非常勤講師。トウキョウ・ブラス・シンフォニー(金管十重奏)メンバー。紀尾井ホール室内管弦楽団メンバー。室内楽やソロ活動も行っている。
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