SPECIAL TALK
04
自分ができることを
やった先に
音楽の道は拓ける。
2024年3月掲載。
学年、役職名等は取材当時のものです。
卒業生
管弦打楽器学科/音楽総合アカデミー学科 講師
福島県出身。東京ミュージック&メディアアーツ尚美(現・尚美ミュージックカレッジ専門学校)管弦打楽器学科、芸術表現アカデミー学科(現・音楽総合アカデミー学科)を共に首席で卒業。卒業演奏会出演。ヤマハ新人演奏会出演。その後同校演奏室員として更なる研鑽を積む。サクソフォーン四重奏団Quatuor B、サキソフォックス、Circle A Sax 各メンバー。尚美ミュージックカレッジ専門学校、ドルチェミュージックアカデミー、スガナミ楽器 各講師。(財)地域創造 公共ホール音楽活性化事業支援アーティスト。板橋区演奏家協会理事。サクソフォンアンサンブル響雅音(こがね)主宰。セルマーアーティスト。サクソフォーンを新井 靖志氏、室内楽を中村 均一氏に師事。
在学生
音楽総合アカデミー学科 管弦打楽器コース サクソフォーン専攻 4年
(福島県立会津学鳳高等学校 出身)
福島県会津若松市出身。10歳よりサクソフォーンを始める。福島県立会津学鳳高等学校を経て、尚美ミュージックカレッジ専門学校 管弦打楽器学科を卒業。現在、同校音楽総合アカデミー学科管弦打楽器コースサクソフォーン専攻4年次に在籍中。第40回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール第4位。第32回ブルクハルト国際音楽コンクール第2位。第19回日本サクソフォーン協会新人演奏会に出演。サクソフォーンを陬波 花梨、山浦 雅也の各氏に、室内楽を中村 均一、波多江 史朗の各氏に師事。サクソフォンアンサンブル響雅音、会津サクソフォンプロジェクトのメンバーとして演奏活動を行っている。
ーー楽器を始めたきっかけ、SHOBIを選んだ理由を教えてください。
山浦:僕は高校1年生の時に年上のいとこが同じ高校の吹奏楽部にいたことをきっかけに楽器を始め、高校時代は"部活のために学校に行っていた"というぐらい、のめり込んでいました。卒業後も音楽を続けたいと思ったものの、3年生の吹奏楽コンクールが終わってから進路を考えはじめたので音楽大学受験は準備が間に合わず。そんなとき友人にSHOBIを教えてもらいました。高校時代はトルヴェール・クヮルテットをずっと聴いていて、そこでテナーを演奏されていた新井 靖志先生がSHOBI出身でかつ講師をされていたことがこの学校を選んだ理由のひとつです。また、当時の音大受験は準備が大変でしたが、SHOBIは比較的入学しやすかった、ということも重要なポイントでした。
平野:私が楽器を始めたのは小学4年生の部活動からでした。最初はフルートをやりたかったのですが全く音が出せなくて、でもサクソフォーンは音が出たんです。そこから小・中・高と部活動で続け、高校進学では総合学科で音楽ができる学校を選んだり、部活動とは別に個人レッスンを受けたりしていました。高校卒業後の進学を考えた際に当時のレッスンの先生から山浦先生とSHOBIを紹介されて、私も同じ道で頑張りたいと思いSHOBIに決めました。
山浦:最初のレッスンは緊張でガチガチだったよね。
平野:実はその前に、中学生のとき一度だけ山浦先生に指導してもらったことがあったんです。その時は「東京からすごい先生が来る!」という機会だったので忘れられませんでした。その後も先生が指導されているアンサンブルの演奏会で先生の演奏を聴いて、この先生から学びたい!って思っていました。
山浦:そうだったんだ。平野さんは地元が同じ会津なので、自分の地元から音楽を志す人がいて、しかも自分が教えられるのはすごく嬉しかったですね。
平野:同じ地元出身で活躍されている方が身近にいることで「私も頑張ろう」という支えになりました。上京して1人で音楽と向き合っていくのは心細かったときもありますが、レッスンに行ったらいつも先生があたたかくお話してくださって、もし専攻実技の担当が山浦先生じゃなかったら挫折していたかもしれないです。
山浦:入学したときはちょうどコロナ禍で、最初の数ヶ月は散歩しかしてないって言ってたね。
平野:入学してしばらくは楽器の音が出せない家に住んでいたので、先生に「練習できなくてどうしましょう」って相談していました。
平野:SHOBIでの4年間はどうだった?
平野:2年制の管弦打楽器学科に入学して、最初は音楽を続ける自信がなかったのに実際にやってみたら楽しくてもっと学びたくなり、卒業したあと音楽総合アカデミー学科に3年次編入学をしてあっというまに4年生でした。いろいろな思い出がありますが、仲間とクァルテットを組んで学内外で活動できたのは特に良い経験になりました。中でも同じ学年のメンバーは私と違うタイプの性格の子で、私とはまた違った演奏をするのでいつも刺激を受けています。悩んだときはお互いになんでも話せるような友人に巡り会えて、毎日が楽しいです。
山浦:先日の「コンチェルトの夕べ」ではソリストに選ばれてオーケストラとトマジの協奏曲を演奏したね。
平野:はい、このコンサートのソリストは例年コンセルヴァトアール ディプロマ科の学生から選ばれることが多いので、最初に連絡を受けたとき学科長の先生に「本当に私ですか?」と思わず確認してしまいました。「今回は平野だ!」と言われて嬉しかったです!
山浦:僕も学生の時に選抜バンドのオーディションに受かって初めてステージに上がった時のことを今でも憶えています。在学中に大きな舞台を経験できるのはいいことだと思いますね。
ーーこの授業が好き、というのがあったら教えてください。
平野:授業は座学を含めて自分のためになるものばかりですが、いちばん印象に残っているのは「室内楽」の授業です。ソプラノからバリトンまでいろいろな楽器でクァルテットを経験でき、演奏する楽曲についても深く教えてくださるので知識も経験も増えました。
山浦:室内楽は僕が学生の時と同じ先生に教わっているんだよね。とても熱心な先生でしたが、僕が至らずいつも先生や仲間に迷惑をかけていました。
平野:私もです。
山浦:でもそれだけ音楽に対して一切妥協をしない先生だってことが、今ならわかります。
平野:先生は卒業後、どのようにプロとして活動されるようになったんですか?
山浦:卒業後2年間はSHOBIで演奏室員をしていましたが、誰かが仕事を持ってきてくれるわけではない。今ほどインターネットやSNSなどで情報を得られなかったので、音楽教室や吹奏楽で有名な学校に講師を募集してませんかって直接問い合わせたりしていました。その頃講師として採用してくださった楽器店には今でもお世話になっています。そうやって少しずつ仕事をもらえるようになった後、2007年に「Quatuor B」というクァルテットを組みました。サクソフォーンフェスティバルでメンバーがたまたま僕の演奏を聴いていてくれて、一緒にやりたいと誘われた時は本当に嬉しかったです。「Quatuor B」を組んだことで、4人それぞれが持っているコネクションでお仕事をいただいたり、学校などの施設や地方に出向いて演奏するアウトリーチ活動のオーディションに受かったりなど、仕事の幅が広がりました。
ーーズーラシアンブラスの仲間の「サキソフォックス」としても活躍されていますよね。
山浦:はい、「サキソフォックス」は四つ子のきつねのサクソフォン四重奏なのですが、「Quatuor B」は4人がみんな背格好が似ているのもあり、そのお友達として声をかけていただきました。「Quatuor B」との相乗効果で仕事をさせていただくきっかけとなり、アウトリーチなども含めて今の演奏活動の柱になってます。一昨年からは同じ会津出身のサクソフォーン奏者と「会津サクソフォンプロジェクト」を立ち上げ、平野さんにも加わってもらっています。地元で演奏会を開催したり、高校生やアマチュアの方たちと一緒に演奏したりなど、活動の裾野を広げられました。
平野:先生たちと一緒に演奏活動ができて、とても勉強になっています。
山浦:平野さんなら一緒にできると信頼しているからこそ誘いました。平野さんにもプロとしての演奏を求めているので、すごく頑張ってもらっているよね。去年の演奏会では平野さんがソロを吹く姿を伴奏しながら後ろから見ていて、成長に感動してちょっと泣いちゃいました。
ーー改めて、SHOBIってどんな学校ですか?
山浦:SHOBIは長い歴史の中で何度か校名が変わっていますが、校名が変わる時は変革がある時。僕が学生の時は「専門学校東京ミュージック&メディアアーツ尚美」という校名で、いろいろな学科が増えて授業も拡張されるなどの変化がありました。他の学校がまだやっていないことをどんどん取り入れていくバイタリティがありますよね。専門学校なので大学と比べると入学するハードルは低いかもしれないですが、音楽大学に引けを取らない講師陣や教育環境が揃っているので、とにかく自分次第の学校です。環境を生かせば自分を成長させられ、将来も拓けると思います。
平野:特にSHOBIの先生方は距離が近く、いつも気にかけてくださり、サポートをいただいていると感じています。私はクァルテットを組んだり、ソリストに選ばれたり、山浦先生と一緒に演奏活動をしたりなど、SHOBIに来たからできたことがたくさんありました。
ーー最後に、これから音楽の道を目指す人へのメッセージをお願いします。
平野:私もそうでしたが、音楽の道に進む決断はすごく勇気がいると思います。でもまずは飛び込んで、やってみるいうことが大事です。途中で諦めるかもと弱気だった私が音楽を4年間続けられた事実が、SHOBIがいい学校ということを伝えられるのではないかなと思います。
山浦:自分の夢を叶えられるのは自分しかいません。SHOBIは音楽にまつわる夢を叶えるための講師や環境が揃っているので、自分ができることをやっていけば、道が拓ける学校だと思います。夢に向かって進んでいく中で、時には思ったようにならないこともあるかと思いますが、そんなところも自分なんだと受け止めて、次につなげて成長していこう、という気持ちで進んでいってほしいです。